量子コンピューティングの探究を続けるIBMは、53量子ビット(Qubit)の量子コンピューターを近々顧客に提供すると、米国時間9月18日にIBM Q Networkで発表した。来月中旬に稼働予定の新システムは、一般利用向けとしては最大の汎用量子コンピューターになる。
新しいマシンは、IBMがニューヨークに新設し、同じく今日発表された「Quantum Computation Center」内に設置される。新センターは実質的にIBMの量子コンピューター用データセンターであり、ほかに20キュービットのマシンが5台設置され、来月にはその数が14に増える予定だ。IBMは同社の量子コンピューターについて95%のサービスアベイラビリティを約束している。
IBMによると、新しい53量子ビットシステムにはいくつもの新しい技術が盛り込まれており、クラウド向けにこれまでより大規模で信頼性の高いシステムの提供が可能になる。スケーリングが容易になり、エラーレートを下げるコンパクトなカスタム回路を導入し、プロセッサーも新たに設計した。
「2016年、それまで一部の研究者しか利用できなかった量子コンピューティングを何万人ものユーザーに解放することを目標に、最初のクラウド向け量子コンピューターを公開した。以来、当社は全世界で大きく力を入れてきた」とIBM ResearchのディレクターであるDario Gil(ダリオ・ギル)氏は語る。「この熱意あふれるコミュニティーの目標は、Quantum Advantage(量子コンピューティングの優位性)と我々が呼ぶことを成し遂げ、今日の古典的な方法ではなし得なかった問題解決に役立てることだ。IBMの量子コンピューターシステムを広く普及させることで、その目標を達成できると信じている」。
こうしてIBMが量子コンピューティングを広く公開し始めたことは、同社の量子コンピューターへの取組みの真剣さを示すものだ。現在同社の量子プロジェクトは、商業、学術、研究合わせて80の団体と提携しながら進められている。現在あるマシンで実用的問題解決を始めている例もあるが、最先端の量子コンピューティングは、未だに基本アルゴリズムをテストしたり簡単な問題を解決することしかできていない。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )