IBMのスーパー人工知能Watsonに接続して子供たちと会話するスマートおもちゃ登場

Elemental Pathというスタートアップがスーパー人工知能、IBM Watsonシステムを利用した子供向けスマートおもちゃを開発している。可愛らしい恐竜スタイルのおもちゃは子どもたち一人ひとりを記憶し、複雑な会話を交わすことができる。子どもたちが成長するのに合せて自らも変化する。CogniToysと名付けられたプロダクトは高度な音声認識能力を備え、子どもたちと会話しジョークを飛ばし、多種多様な「何?」、「誰?」、「なぜ?」、「どうやって?」などの質問に答えることができる。

CogniToysは現在Kickstarterに登録され、量産開始のために5万ドルの資金を募っている。

共同ファウンダーのDonald Coolidge、JP Benini(この2人元Majestyk Appsのエンジニア)とArthur TuはIBMが主催したWatsonを利用するプロジェクトのコンテストで優勝してWatsonテクノロジーへのアクセスを認められたたのを機にElemental Pathを創業した。

共同ファウンダーはいずれもまだ子供がないが、「インターネットに接続したスマートおもちゃ」が子どもたちを楽しませると同時に有益な効果を挙げると信じている。

CogniToysの恐竜はまだ初期プロトタイプで、3Dプリンターで出力されたものだが、量産時にはLeapFrogタブレットのような柔らかい合成ゴム素材となるという。 全根面に大きなボタンがひとつだけ設けられており、これを押すことで対話がスタートする。

スピーカー、マイク、バッテリーとインターネット接続のためのチップだけと内部構造は非常に簡素だ。処理はすべてクラウド上で行われる。

「インターネット接続デバイスのメリットは製造コストが低いことだ。製品の価格も安くして普及を図ることができる」とCoolidgeは説明する。

IBM Watsonの強力な人口知能に接続しているため、CogniToysの応答速度は極めて速い。Elemental Pathによれば1秒か、多くの場合それ以下だという。

このおもちゃは特定の子供が使い込むにしたがって賢くなるが、クラウドに接続しているため、他のすべての子どもたちが使った際のデータも利用できる。たとえば他の子供がすでに尋ねた質問がクラウドに記録されており、別の子供が質問したときに即座に答えることができる。おもちゃのコンテンツはすべてクラウド上にあるため、リアルタイムでアップデートが続けられる。もしある子供の質問に対する答えがシステムに用意されていなかった場合、コンテンツはアップデートされ、次の子供が同じ質問をしたときにはすぐに答えられるようになっている。

対象年齢は4歳から7歳で、それぞれの持ち主に対して個別にカスタマイズされる。小さな子がユーザーである場合、システムはジョークを言ったり物語を聞かせたりする。年上の子からは、数学や地理など勉強に関連するテーマを含めさまざまな質問を受け付ける。ただし、一部の質問については質問に答えないようにプログラムされている。たとえば「赤ちゃんはどこから来るの?」という質問には「それはママに聞いてね」と答える。

また両親は子供の名前、年齢、性別などの基本情報を設定することができる。またクラウド上のダッシュボード・サイトに接続して学習の進展をリアルタイムでモニターできる。

Kickstarterでは現在、99ドルで1台、190ドルで2台を予約できる。ただしElemental Pathの長期のビジネスプランはおもちゃの製造そのものよりも人工知能利用の教育的ソフトウェアの開発にあり、最終的にはライセンスをビジネスのメインとしたいということだ。

Elemental Pathはマンハッタンに本拠を置いており、ファウンダー自身や家族、友人からの少額の投資で運営されている。しかし近くシード資金を調達することになるだろう。

CogniToysの出荷は11月1日を予定している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+