IBMはレイオフを認めたが、その詳細は明かさず

IBMは同社がレイオフを行なっているという報道をひと晩で認めたが、部門や関係する従業員の人数などに関する詳細は明らかにしていない。しかし同社はこの度のレイオフを、新CEOであるArvind Krishna(アービンド・クリシュナ)氏の采配による必要性の高いスキルの導入と、それにともなう再配置だとしている。

IBMのスポークスパーソンはTechCrunchに対して「競争の激しい市場におけるIBMの業務には、より高い価値スキルにリミックスする柔軟性が必要であり、労働力に関する決定は、弊社のビジネスの長期的な利益のために行われている」と語っている。

Moor Insights & Strategyの主席アナリストであるPatrick Moorhead(パトリック・ムーアヘッド)氏によると、レイオフは全社的に行われるという。「聞くところによると、それは事業部間のバランスをとるためのものだ。IBMは今、できるだけ多くのリソースをクラウドへ移行しようとしている。基本的には必要なスキルを持たず、再教育もできない者が解雇し、特定のスキルのある者を採用する。だからいわゆる人減らしではない」とムーアヘッド氏は語っている。

ちなみにIBMは、2015年にレイオフが報道されたときにも同じ理屈を述べた。公式の数字はないがBloombergによると、今回の数字は数千人単位だという。

Constellation ResearchのアナリストであるHolger Mueller(ホルガー・ミュラー)氏によると、現在、IBMは厳しい立場にいる。「過去の成果が利益を産んでない。IaaSとしてのIBM Cloudはなくなり、Watsonは期待はずれ、ブロックチェーンは遅すぎて、何千人もコンサルタントが仕事にならない」とミュラー氏は話す。

ミュラー氏によると、作業員が現場ではなく家にいることの影響もある。「企業は大規模のソフトウェアプロジェクトをリモートで行う方法を知らず、学んでもいない。現在のところ企業は計画の再開で忙しく、プロジェクトの進行が遅くなっている」という。

このニュースの背景には、大企業も中小企業もパンデミックのために大量の従業員を解雇しているという事情がある。IBMも現在のマクロの状況に関係なく、新CEOが建て直しを図ろうとしているように、人員削減が必要なのかもしれない。

同社はここ数年間、苦戦が続いており、2018年にRed Hatを340億ドル(約3兆6600億円)で買収したときには、もっとオープンなハイブリッドクラウドという選択肢を模索していた。今同社が必要としているのは、それを実現に導くスキルに焦点を当てたいようだ。

同社は2021年6月まで、レイオフした社員の医療費を補助するという。まあ、当然だろう。

関連記事: Incoming IBM CEO Arvind Krishna faces monumental challenges on multiple fronts…IBMの新CEO Arvind Krishnaを多方面からの難題が包囲(未訳)

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。