Intelは自動運転のためのコンピューター・ビジョンのリーダー、Mobileyeを153億ドルで買収することを確認した。両社の関係は当初は提携だったが、最終的には買収に進んだ。これはテクノロジー関連のイスラエル企業の買収としてこれまでで最大となる。
Intelは声明で次のように述べている。 「合意された条件に基づき、Intelの子会社は、Mobileye社株式について1株当り63.54ドルのキャッシュで公開買付を開始する。すべての発行済株式が買付の対象となる。〔オプション実行などによる〕希薄化後の株式を含んだ買付総額は約153億ドルと見込まれる。会社評価額は147億ドル(…)」。買収手続きは9ヶ月程度で完了するものとIntelは見込んでいる。
現在Mobileyeは 広範囲なテクノロジーとサービスを保有している。センサーフュージョン、マッピング、フロントおよびリアカメラ関連のテクノロジーが含まれる。2018年には高精細度マップのためにデータ取得のクラウドソーシングを開始する。また自動運転の決断の基礎となるドライビング・ポリシーの実用化も導入するととしている。これらの新しいテクノロジーとサービスは今後すべてIntelブランドとなる。Intelはさまざまな自動運転テクノロジーを取得することになるだけでなく、自動車メーカー各社がMobileyeと結んでいる密接な関係もIntleの傘下に入ることを意味する。今日(米国時間3/13)の電話記者会見でMobileyeの共同ファウンダー、CTOのAmnon Shashuaは「われわれは現在自動車メーカー27社と提携している。20016年にはAudi、BMWその他のメーカーと10種類のプロダクション・モデルに関するプロジェクトを実行している」と述べた。【略】
Intelは当初のTechCrunch記事を確認し「Mobileyeの共同ファウンダー、CTOのAmnon Shashua教授がIntelの自動運転事業部の責任者となり、これはイスラエルを拠点する。Intelの上級副社長 Doug DavisがMobileyeとIntelの業務統合全般を指揮し、Shashua教授に直属する」と発表した。
イスラエルをベースとするコンピューター・ビジョン、機械学習に関連して、Googleは道路情報をクラウドソーシングするWazeを11億ドルで買収、Appleは3DセンサーのPrimeSenseを3億ドルと報道される額で買収している。
Mobileyeが買収後もイスラエルにとどまることになったのはWazeの買収をめぐるドラマを想起させる。当初FacebookがWaze買収に動いたものの、Wazeのエンジニアはイスラエルにとどまりたいと希望し、FacebookはチームをシリコンバレーのFacebook本社に移したがった。この問題で交渉が中断している間にGoogleがWazeをさらってしまった。Googleはイスラエルに本拠を置きたいというWazeの条件を認めたために買収は即決されたという。
IntelとMobileyeは昨年から公式に提携していた。 今年に入って両社は、BMWの自動運転車40台にテクノロジーを供給している。Mobileyeは早期からTeslaの自動運転テクノロジーのパートナーだった。ただしMobileyeがTeslaの安全性に関する方針に反対したためこの提携は終了している。
Mobileyeは2014年にNasdaqに上場し、現在の時価総額は105億ドル.だ。買収のニュースが流れると同時に、市場が開く前に、株価は33%以上アップした。【略】
自動運転テクノロジー関連の動きはIntelにとどまらない。同じく今日、自動車部品メーカー大手のValeoがドイツのスタートアップで、車載3D画像処理ソフトウェアのgestigonを買収したことを明らかにしている。同社のテクノロジーは車両内外のさまざまな情報をドライバーに伝えると同時に自動運転システムともコミュニケーションを取り、車両の動作を決定するのを助けるという。
金額など買収の詳細は明らかになっていない。Valeoは従来から自動運転テクノロジーに活発に投資しており、これまでにもフランスの自動運転シャトルバス、Navyaの株式の一部を取得したりカリフォルニア州で自動運転車のテストを行うライセンスを取得するなどしている。gestigonの買収はこの分野への関心が非常に強いものであることを意味するようだ。
Valeoはこの後、投資家向け電話会見を開く予定なので新しいニュースが判明すればアップデートする予定だ。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)