iPhoneの熱烈なファンが数週間Androidを使ってみた

編集者注記: Semil ShahSwellのプロダクト担当で本誌TechCrunchのコラムニストで投資家だ。彼のブログはHaywire、彼のTwitterアドレスは@semilだ。

去年のちょうど今頃、“シリコンバレーが徐々にAndroidに目覚める”と題する記事を書いた。そしてやっと最近、SwellのAndroid版をテストするためにNexus 5を買った。そのおかげで、iPhoneとAndroidの両方を持ち歩く経験を書いたらおもしろいかな、という気持ちになった。この記事でとくに書いてみたいのは、Androidの楽しいところと、逆に、iOSの方が良いなぁと思える部分だ。“Androidの方が良い”とか“Androidはむかつく”といったタイプの議論には加わりたくない。この前Androidを使ったのは2011年の春だったが、それは実にいらだつ経験だった。でも今回の真新しいNexusは、別世界だ。

Nexus 5で気に入っているところ: Pocketを読んだりYouTubeを視たりは大型画面の方が楽しめる。通知が、 分かりやすいGoogleのいろんなサービスを統合しているから、いろんなことをやりやすい。マルチタスクやアプリの切り替えはAndroidの方が容易だ。Google Nowが常時動いているのも、もちろんよろしい。

SwiftKeyをインストールしたが、まだ十分に使い込んでいない。今のところ個人的に気に入っているのは、Android上でしか作れないCoverAviateのようなアプリだ。Coverは、ご存知の人も多いと思うが、デバイス上のセンサからのデータを利用するロックスクリーンアプリで、今ユーザが使いたいと思っているであろうアプリを予言する。少なくともぼくに関しては、その予言がぴったり当たるから、びっくりしてしまう。だからCoverがあると、いちいちアプリを選んで立ち上げるという手間が省ける。ぼくのNexus 5はいろんなアプリがごちゃごちゃ載っているけど、Coverはぼくがよく使うアプリを選んでくれるお利口さんだ。どうやらCoverは、ユーザの日常の携帯の利用状況をよく見て、その人がよく使うアプリをランクづけしているのだ。

Aviateも同じくエレガントで、便利なオプションが山のようにあるホームスクリーンインタフェイスだ。このほか、IngressAgentCogiなども、試してみることが今から楽しみだ。そして、読者が勧めてくれるそのほかのアプリももちろん。

やっぱりiPhoneの方が良いなぁ、と感じたこと: iPhoneの方がやや小さいからタイピングがしやすい。それと、レティナスクリーンも、もちろん恋しい。タッチ画面のガラスの応答性もiPhoneが良い。iPhoneには、いろんなスタートアップたちが作った、Androidにないアプリが大量にある。小さなデベロッパ企業はどうしても、iOS優先で行かざるをえない。iOSには“バックボタン”がないのも好きだ。Androidでは、あれに戸惑う。携帯を使っていて、まるでブラウザみたいに前の画面へ行くなんて、考えたこともない。もちろん、あれが気に入っている人もいるのだろうけど。

数週間、二つの携帯を持ち歩いたのは、主に仕事のためだけど、でもデバイスやオペレーティングシステムをいろいろ試して、遊ぶこともできた。最近考えるのは、ぼくやそのほかのiPhoneユーザが、今後積極的に、Nexus 5に乗り換える要素がもしあるとするなら、それは一体何だろう? あまりたいしたことは、思いつかない: 1)新しいものへの好奇心、2)データプランが安くて自由度がある、3)Androidにしかないアプリが必要、4)大型画面を使いたい、5)Googleの各種サービスが使いやすい、などなどかな。

でも、iPhoneからAndroidへの大量移動はありえるか? ありえるとしたらその理由は? この質問に答えるのは難しすぎるし、また、Googleがそれをねらっているとも思えない。

Google Nowのような必殺アプリが今後もっと良くなったら、こういう、ユーザの欲求や行動を先回りして予知するネイティブサービスが、iPhoneからAndroidへの移行の動機になるかもしれない。あるいは、Androidではデベロッパが簡単にrootアクセスできるし、データアクセスも相当自由になるから、iOSでは不可能だけどユーザにとっては必要不可欠、というまったく新しいユーザ体験を、どこかのデベロッパが作ってしまうかもしれない。ただしiPhoneでも、M7やTouchIDなどに見られるように、今後のハードウェアの進歩次第では、十分に同じことができるようになるだろう。ていうか、AndroidとiOSに関しては、お互いが似てくるというよりも、むしろ、両者の違いがますます際立ってくるだろうな。

Google Glassと、それと携帯との連携が今後成熟すれば、Androidの優位性が増す、という説もある。でも、そのころになればGoogleはソフトウェアのマルチプラットホーム化を図るはずだから、多少の機能差はあったとしても、iOSが不利とは言えない。

昨夜(ゆうべ)(米国時間2/15)のTwitterで、@robustus氏が言うには、Appleが一部のBitcoinアプリをブロックしたら、AndroidのBitcoinウォレットが(多少セキュリティに不安があっても)Androidへの人民大移動の大きな動機になる、とか。

でも、どうなんだろう。この二つのプラットホームは、これからも対立が激化していくのか、それとも、消費者の利益を優先して…差異と選択の余地を十分に残しながらも…平和共存の方向へ向かうのか。ぼくは、後者を望むけどね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


投稿者:

TechCrunch Japan

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