JR東日本のイノベーションというと、Apple PayでSuicaが使えるようになったのが記憶に新しい。しかし、それにとどまらずJR東日本は新しいイノベーションを生み出すスタートアップとの接点を増やしていきたいようだ。本日、東日本旅客鉄道は「JR東日本スタートアッププログラム」を開催し、スタートアップとのオープンイノーベションを推進すると発表した。
JR東日本スタートアッププログラムが対象とする事業領域は、「当社グループ関連する事業」であり、それには交通、観光、インバウンド、小売、流通、飲食、サービス、まちづくり、IT、決済を含むとサイトにある。JR東日本は、中でもテーマに掲げる「TICKET TO TOMORROW~未来のキップを、すべてのひとに。~」に合致し、社会課題の解決や豊かな未来づくりを目指すスタートアップの参加を募るという。
このプログラムでは、創業10年以内のスタートアップをアクセラレーションからテストマーケティングまで支援する「アクセラレーションコース」と、これから起業する、あるいは創業間もないスタートアップを支援する「インキュベーションコース」を用意している。
これらのコースに参加するスタートアップには、JR東日本グループの所有する情報、ITツール、プロモーション設備、商流・物流網などを提供するという。また、プログラム期間中はJR神田万世橋ビルにあるコワーキングスペースを無料で利用でき、11月以降のテストマーケティングの際には大宮駅西口イベントスペースなどの駅スペースも使用できるそうだ。
近年、JR東日本に限らず多くの大手企業がアクセラレーター・プログラムを立ち上げている。例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループの「MUFG Digitalアクセラレータ」、富士通の「富士通アクセラレータプログラム」、IBMの「IBM BlueHub」、ソフトバンクの「Softbank Innovation Program」などが思い浮かぶ。JR東日本と競合するところでは、東京急行電鉄も「東急アクセラレートプログラム」を展開している。
こうしたコーポレート・アクセラレーター・プログラムはここ数年で立ち上がったものが多く、それぞれのプログラムがどの程度スタートアップの事業の加速に役立っているかは、まだもう少し経ってみないと分からないだろう。ただ、リソースの限られているスタートアップにとっては、自分たちが最も必要としているリソースを持つ企業のプログラムに参加し、戦略的に事業を組み立てられるのならこうしたプログラムに参加するメリットもあるかもしれない。
JR東日本は4月19日と4月25日に説明会を実施する予定だ。アクセラレーションコースの応募締切は5月末、インキュベーションコースは7月末となっている。