KDDI∞Labo第5期参加チーム5社を発表 – オークションアプリ、駐輪場貸借サービス等が採択

本日、KDDIが運営するインキュベーション事業である∞Laboの第5期採択チームが発表された。今回で5度目となるこのプログラムには毎回100社近い応募があり、その中から数社が選ばれる。

採択されたチームはKDDIが用意したオフィス・スペース(渋谷ヒカリエ内)や開発環境、デバイスの貸与、社内・社外メンターからのメンタリングなどを3カ月間受けられる。

それではKDDI∞Labo第5期参加チームを紹介しよう。

スマオク — ザワット株式会社

スマオクは女の子のためのブランド古着オークションアプリだ。最近ではFrilやメルカリといったフリマアプリが成長しているが、こちらはオークションのアプリになるようだ。

ターゲットとなるユーザー層は売り手が20代後半から30代前半、買い手が20代前半から20代後半としている。ユーザーはスマートフォンからオークションストアを簡単に開設でき、手軽に売りたい商品を出品できる。

このスマオクを運営するザワットはちょっとしたお願いごとなどを売買したり、仲間を募集するためのWishScopeを運営していることでも知られている。このサービスでCtoCのマーケットプレイスを運営するノウハウを培っているため、スマオクでも経験が活かされてくるのだろう。

Dr.Wallet — 株式会社Bear Tail(学生枠)

レシートを撮影して送るだけで、家計簿を作成してくれるサービスがDr.Walletだ。こちらのサービスについては本誌でもローンチ時に取り上げている

家計簿サービスは日本でもいくつか存在するが、このサービスが特徴的な点は全て人が入力している点だ。だからミスが少なく、99%以上の精度で家計簿が作成できているそうだ。ただ、人力で全てをデータ化することは非効率な面もある。そのため、∞Laboのプログラム期間中にレシートをOCR処理(自動の文字認識)できるようにして効率化を図るようだ。

その他、より経理申請用のCSVエクスポートなどの機能を加えた有料プランやレシートと連動するクーポン配信などの仕組みを構築することで収益化も考えている。

Bear Tail代表の黒崎賢一氏によると、家計簿をつけている人のうち半分程度はまだ家計簿ノートなど紙媒体で管理をしているそうで、これからはさらにデジタル化が進むだろうから、ニーズのある市場だとのこと。

なお、Dr.Walletは8月のローンチ以降、登録者は2万人ほどでDAU(デイリーアクティブユーザー)は25%ほどに成長している。

PEDALRest — チームPEDALRest

駅前やオフィス街に自転車を止めておいて撤去されてしまった経験のある方はいるだろう(ちなみにこの日、KDDIの会見場にいた記者たちの約3割が経験ありと挙手していた)。駐輪場があれば良いのだが、特に都内では止めるスペースが少なく、移動手段として自転車を選択することは好ましくない場合が多い。

PEDALRest代表の中島大氏は自身がそのような経験をよくしたことから、この問題を解決するために遊休スペースを転用し、駐輪場として貸すためのサービスを開発している。

仕組みはシンプルで余っているスペースを持っている人達がその場所を駐輪場として提供する。自転車利用者はオフィスなどの目的地を入力すると、その付近で提供されているスペースを選びそこに自転車を止める。中島氏によると駐車場などの端に自動販売機などがよく置かれているように、遊休スペースは多く存在するのだとか。

PEDALRestは最初は東京を中心に展開し、徐々に対応エリアを拡大していく予定だ。

アオイゼミ — 株式会社葵

アオイゼミは「ゼミ」という名前からわかるように学習系で教室をWeb上に再現しようというサービスだ。すでにサービスは提供されており、月曜日から木曜日にライブストリーミングで授業を行っている。

中学生を対象にしたこの授業ではリアルタイムにユーザー(生徒)がコメントを残し、コミュニケーションを取ることができる。また、このコメントは他のユーザーにも見えるため、互いに競争意識が湧いたり、わかりにくい点などの共有ができるといったメリットがある。

葵代表の石井貴基氏によると、このコメントでの交流により授業がより楽しいと感じてもらえているそうだ。しかし、現在は授業中のみしかユーザー同士のコミュニケーションの場を提供できていない。この点を解決すべく、∞Laboのプログラム期間内によりコミュニケーションを活性化させ、学習が楽しく継続するように学習SNSをサービス内に構築するという。

なお、リアルタイムでの授業は全て無料だが、収録した分の授業を見るためには有料会員になる必要がある。

ズカンドットコム — 株式会社ズカンドットコム

Wikipediaが世界中の皆で作り上げる百科事典であるのと同様に、ズカンドットコムはあらゆる分野の図鑑を構築しようとするサービスだ。

Wikipediaは文字ベースで様々な情報が網羅されているが、ズカンドットコムは画像ベースで図鑑を作る。ユーザーは自分が撮影した写真を投稿し、写真はテーマごとに分類される。

ズカンドットコム代表の山出潤一郎氏はスマートフォンで高品質な写真が撮れるようになり生き物や食べ物、風景といった写真が多くアップロードされているが、そのアップロード先はユーザー個々のFacebookやFlickrアルバムになっている。これらの写真をテーマごとに分類して収集できればネット図鑑ができるのではないかという。

図鑑にニーズがあるのか疑問に思う方がいるかもしれないが、現在すでに公開されている魚図鑑は月に100万PVを稼ぐまでに成長しているそうだ。

また、ユーザーへのインセンティブも用意されており、将来的には図鑑内の画像を第三者が有料で利用できるようにして、使用料の70%をユーザーに還元する予定だという。一般的な画像マーケットに比べてズカンドットコムはテーマに合った写真を見つけることができるだろうと山出氏は語る。

以上がKDDI∞Labo第5期に採択された5チームだ。これから各チームは∞Laboのプログラムを受け、3カ月後のデモデーでプロダクトを発表する。


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TechCrunch Japan

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