Kickstarter、「プロジェクトのリクエスト」を提示

Kickstarterくらいクラウドファンディングの世界にいれば、あちことで様々なトレンドを目にせざるを得ない。Y Combinatorの「スタートアップのリクエスト」に倣い、Kickstarterは来年何がチャンスかを明確に示そうとしている。KickstarterのゴールはY Combintorよりはるかに不明瞭だが、同社はキャンペーン候補に対して、Kickstarterが何に重点をおいているかを表す明確なサインを送っている。

同クラウドファンディングサイトは、「クリエーションのためのツール」を具体的に指定している。Kickstarterによるとこのカテゴリーには、例えば昨年TechCrunch DisruptでデビューしたWazerのような文字通りのクリエーションツールと、クリエーションをもっと自由にとらえた ArtiphonのInstrument 1のようなツールの両方が含まれる。

あと2つの注目すべきカテゴリーはもっとわかりにくい。“Boundary Pushers”[限界を押し広げるもの] と “Delightful Design”[心地よいデザイン]は、どんな意味にでもとれる。Kickstarterが「プロジェクトのリクエスト」を発表する狙いがどうにもよくわからない。明確なゴールが示されないならなおさらだ。あらゆるクラウドファンディングのキャンペーンは限界を押し広げてよいデザインでなくてはならないと言える。

それでもこれが興味深いのは、Kickstarterがかつて宣言したゴールから方向転換する兆候に見えることだ。過去数年間、同サイトはアートやクリエイティブなプロジェクトをテクノロジー中心のプロジェクトよりも重視してきたように思える。この方針は、永遠のライバルであるIndiegogoが多くのハードウェア、テクノロジー関連プロジェクトのメッカになっていくことを意味していた。Kickstarterが再びテクノロジーの世界に戻ってきて、社内チームがクリエーターと協同でプロジェクトを成功させようとしているのは朗報だ。

個人的には、条件をもっと明瞭にしてほしい(XとYが欲しい、AとBではない)ところだが、どんな取り組みもどこかからスタートするしかない。Kickstarterの最初のテーマは少々ぼんやりしているが、フィードバックを受けてすぐに対応することがこの会社の特長なので、今後「プロジェクトのリクエスト」がどう進化していくか楽しみだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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