Listnrを覚えているだろうか?Listnrは音を認識するIoTデバイスで、2015年1月にKickstarterのキャンペーンを開始したものの停止処分を受けていた。Cerevoは本日、Listnrは量産の準備段階にあり、実機を2016年1月6日から9日にラスベガスで開催されるコンシューマー向け電化製品の展示会「CES」に出展すると発表した。今日からListnrのティザーサイトも公開している。
Listnrのこれまでの経緯を振り返りたい。Listnrは特定の音を判別して、スマホや他のIoTデバイスを操作することができるデバイスだ。例えば、指をパチンと鳴らしてインターネットに接続している電球を付けたり消したりできる。ListnrはPanasonicの音声認識エンジンを搭載し、InterphenomとCerevoが共同で開発を進めていた。
Listnrは2015年1月7日、Kickstarterで5万ドルを目標とするクラウドファンディングキャンペーンを開始した。期限内に336名の支援者から目標額を超える6万3808ドルを集めることに成功したが、3月7日にKickstarterからキャンペーンの停止処分を受け、プロジェクトは一時中断した。InterphenomのサイトではListnrについて「独自に製品化の道を探ることといたしました」と伝えていたが、それ以降Listnrの進捗についての情報発信は途絶えていた。
Kickstarterでの停止処分を受け、その後Listnrを実現するために各社で協議を行ったとCerevo代表取締役、岩佐琢磨氏はTechCrunch Japanに話す。その結果、Kickstarterでのキャンペーンは諦め、ListnrのプロジェクトをCerevoに移管し、Cerevoのブランドとして製品開発を続けることに決まったという。ListnrはそもそもInterphenomが立ち上げたプロジェクトで、Cerevoが設計と製造を担う役割だったが、Interphenomは継続して製品開発に協力するものの、プロジェクトの移管に伴い発展的解消することになったという。
Kickstarterでキャンペーンの停止処分を受けた理由は分からないままだと岩佐氏は言う。詳細についてKickstarterに問い合わせたが、Kickstarterのポリシーにより回答は得ることはできなかったそう。Kickstarterにキャンペーンを掲載する際、Kickstarter側はキャンペーンの内容、掲載動画や文章を審査したという。ListnrのキャンペーンはKickstarterが承認した上で掲載に至ったので、内容に問題があったとは考えづらいと岩佐氏は言う。Kickstarterの規約に変更があったのかもしれないと話すが、Kickstarterからの説明がない以上、憶測の域を出ない。Kickstarterが処分や変更理由を明示しないのは、悪意のある者がルールをかいくぐってサービスを悪用することを防ぐ意味合いもあるのだろうと岩佐氏は言う。
改めてクラウドファンディングのキャンペーンを行わなかったのは、プロダクトを支援してくれた方に製品を早く届けることが先決と考えたからと岩佐氏は説明する。Kickstarterでキャンペーンを行ったのには3つの理由があると言う。1つは良いプロダクトを制作するための資金集めのため。1つは商品PRと広報のため。もう1つは商品の潜在的なニーズを確認するためだ。KickstarterのキャンペーンでListnrの潜在的なニーズを確認することができ、PR効果も十分にあったと判断したと話す。資金は多くある方が良いが、そのためだけに新たなキャンペーンを行うことはためらわれたと言う。製品を作る資金が全くないという状況ではなく、再度他のクラウドファンディングのサイトでキャンペーンを行うとなると審査からキャンペーン終了まで1ヶ月近くかかるからだ。製品を早く届けるためにキャンペーンではなく、販売できる製品の開発に注力することを決めたという。
Listnrの実機は1月6日から開催されるCESで出展する予定だ。Listnrは2015年のCESで製品を初めて発表していた。1年の期間を経て、今回は量産間近の実機が登場する。実機はキャンペーンで発表していた通りの機能であるが、さらに使いやすいよう改良していると岩佐氏は話す。1月中旬にはCerevoのサイトで販売を開始する予定だ。CESではListnrの他にも未発表の製品を2つ発表するという。1つはスポーツ系の製品で、1つはホーム系の製品だそうだ。前回よりブースの広さも倍になり、海外でも積極的に彼らの新製品をアピールする予定だという。