Kubernetesのオブザーバビリティプラットホームを提供するPixie Labsが約9.7億円を調達

Kubernetesネイティブのアプリケーションにオブザーバビリティ(可観測性)を持たせるためのツールを作っているPixieが米国時間10月1日、BenchmarkがリードしGVが参加するシリーズAのラウンドで915万ドルを調達したことを発表した。さらに同社は本日、そのサービスを公開ベータで使用できると告知した。

同社の共同創業者でCEOを務めるZain Asgar(ザイン・アスガ)氏は、それまでGoogle(グーグル)でGoogle AIのチームにいたスタンフォードの非常勤教授、そしてもう一人の共同創業者でCPOのIshan Mukherjee(イシャン・ムケルジー)氏はApple(アップル)のRobotics部門にいた。アスガアスガ氏は最初、Benchmarkで機械学習のためのデベロッパーツールを開発していた。そしてその後、そのアイデアは、機械学習を利用して開発者が大規模なデプロイを管理するツールへと変わっていった。

ムケルジー氏は「データシステムは今、エッジへ移行しつつあり、これまでのようにデータを手で集めてデータベースに送るクラウド1.0のモデルが、今では相当非効率に見える。それに最近の私はひまな中年男で、髪に白いものが混じり始めていた。そこで私たちは、次世代のデベロッパーツールを作ってMichael Jordan(マイケル・ジョーダン)教授の知能拡張(Intelligent augmentation)に挑戦すべきだと考えた。それは私たちにとっては、クリエイティブなツールを作って彼らの生産性を上げることだった」。

チームの主張によると、競合するモニタリングやオブザーバビリティのシステムは、オペレーターとITチームにフォーカスしたものが多く、手作業による長時間のセットアップを要する。しかしPixieは、その手作業のほとんどを自動化する、開発者が使いたいと思うようなツールを志向した。

Pixieは開発者のKubernetesプラットホームで動き、彼らのプロダクション環境の可視性を瞬時かつ自動的に与える。今フリーミアムのSaaSで提供されているPixieは、インストールするインストルメンテーションがない。代わりに、Linuxカーネルの比較的新しい技術であるeBPFなどを使って、データソースから直接データを集める。

アサガー氏は「これのいいところは、Pixieをほんの1分でデプロイでき、すぐにデータを得られることだ。ビジネスロジックの中に大量のモニタリングのコードがあることを避けたかったり、何かを忘れていたり、停電のときなどには、とても助かる」と説明する。

開発者体験の核にあるのは、同社が「Pixieスクリプト」と呼ぶものだ。Pythonに似たPxLという言語でデベロッパーは、デバッグのワークフローを書く。チームと広義のコミュニティが書いたスクリプトがすでにたくさんある。しかしアスガー氏は、すべてのユーザーがスクリプトを書くことはない、と言う。「スクリプトは、その問題に関する人間の知識を捕捉することが目的だ。平均的なユーザーや、平均以上のデベロッパーでも、スクリプトを使ったり書いたりしない場合が多いと想定している」というのだ。

「スクリプトとスクリプト言語は今後もっと堅牢かつ使いやすくして、デベロッパーがシステムを受け身でモニタするだけでなく、モニタしたデータやシステムが集めたデータに基づいて、クラスタに対して能動的にアクションができるようにしたい」とチームは主張する。

Benchmarkのゼネラルパートナーを務めるEric Vishria(エリック・ヴィシャリア)氏は、次のようにコメントしている: 「ZainとIshanの挑発的なアイデアは、ソフトウェアのモニタリングをそのソースで行うことだ。Pixieではエンジニアリングのチームがモニタリングの戦略を抜本的に見直して、未来のビジョンを提示できるようにする。そこでは大量のビヘイビアを検出して、インフラストラクチャの層自身の中でオペレーションの決断ができる。これによって、大企業も中小企業もそのデジタル体験を、もっと反応が敏感で、コスト効果が良く、スケーラブルなやり方でモニターできるようになる」。

画像クレジット: Pixie

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Kubernetes、Pixie、Benchmark

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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