LINE経由のレンタルも可能な台湾のスクーターシェアWeMoが東南アジア進出へ

台湾の街でおなじみのスクーターは、人口密度の高い都市では車に変わる交通手段となっている。しかしスクーターは大気汚染や駐車スペースの混雑にもつながっている。ここ数年、数社がガソリンで走る従来のスクーターに取って代わる環境に優しいスクーターの開発に取り組んできた。

Gogoroはおそらく国際的には、電動のSmartScooterでよく知られているだろう。SmartScooterは台湾の電動スクーター部門で実際に最もよく売れている。しかし台湾外ではさほど知られていないスクーターシェアリングスタートアップのWeMo(ウィーモ)も2016年のサービス開始以来順調に成長している。今では台湾の3大都市でスクーター7000台超を展開し、毎月100万回の乗車があるという。

WeMoはこのほど、AppWorksがリードするシリーズAで数百万ドルを調達したと発表した。台湾のベンチャーキャピタルファームであるAppWorksにとって初のスマートモビリティへの出資だ。調達した資金はWeMoが現在展開している台北市、新北市、高雄市以外へのサービス拡大、そして海外進出に使われる。海外での展開はまずは東南アジアだ。

WeMoは台湾では、車とスクーターのレンタルサービスのiRent、そしてGogoroが1年前に立ち上げたモビリティシェアリングプラットフォームGoShareと競合する。同社の共同創業者でCEOのJeffrey Wu(ジェフリー・ウー)氏は、WeMoがシェアリング用スクーター向けのスマートテックを作ることにフォーカスしてきて、最初から他社と差異化を図っているとTechCrunchに語った。

Gogoroのが自前の電動スクーターを開発するのとは異なり、WeMoは台湾最大のスクーターブランドの1つ、Kymco(キムコ)と提携している。各スクーターにはWeMoが開発したネットに接続するブラックボックスが装備される。

このブラックボックスによってWeMoは、交通状況や路面の状態、例えば路面のデコボコを感知するなど乗車に関するデータを提供しながら、スクーターのバッテリーを管理できる。こうしたデータは交通インフラの改善のために当局と共有することも可能だ。ブラックボックスはまた、WeMoユーザーのアプリとも接続し、利用できるスクーターの場所の表示や、スクーターのロック解除、交通状況についてのアラート送信ができる。

WeMoはスクーター200台でサービスを開始する1年前の2015年に取り組みを開始した。ウー氏はWeMoを共同創業する前、McKinsey and Company(マッキンゼー・アンド・カンパニー)のコンサルタントだった。「戦略コンサルタントというバックグラウンドに戻ろうとしていた時、私の共同創業者と私は台湾で何かしようと決めた。台湾は過去のビジネスの仕方と異なっていた。というのも、環境を変える多くの異なるマクロトレンドがあったからだ」とウー氏は述べた。

「明らかにシェアリングエコノミー部門はブームになっていて、当時モバイルファーストのテクノロジーが広まりつつあった。しかし我々は輸送部門はかなり長い間変化がないことに気づいた。そして環境に優しい乗り物にシェアリングエコノミーや使ったぶんだけ払うというコンセプトを持って来れれば、より環境に優しく、スマートで、そして便利な交通手段になると考えた」。

ウー氏はまた、道路の両サイドに日々停められている不使用のスクーターを目にして、マーケット機会を嗅ぎとった。スクーターは台湾では最も一般的な交通手段の1つであるにもかかわらず、主要都市で駐輪スペースを探すのは往々にして大変で、これは多くのスクーターが十分に活用されていないことを意味する。

WeMoのスクーターは駐輪場で待機し、ユーザーはアプリで解錠できる。いくつかの料金設定があり、1分ごと、あるいは1時間単位のレートのほか、月額プランもある。アプリは中国語と英語で提供されていて、地元の住民並びに観光客も利用できる。台湾で最も広く使われているメッセージアプリのLINEを通じてアカウントを開いてスクーターをレンタルすることも可能だ。

「新たに調達した資金の一部は、新マーケットへの進出準備として台湾にあるR&Dセンターの拡張に使われる、とウー氏は述べた。同社はハードウェアとソフトウェアのエンジニア最大100人を雇用する計画だ。特に自動運転テクノロジーや車両テレマティクス、機械学習などの分野で経験を持つ人材を求めている。スクーターシェアリングサービスを新マーケットで立ち上げるためにパートナーと協業しながら「モビリティ・アズ・ア・サービス」プラットフォームになることを目指す。

「過去5年間で人々はシェアリングモビリティサービスに慣れてきた。しかし5年前はこの分野はさほど発展してはいなかった。そのため、我々はテクノロジーとアプリケーションを持ち込まなければならなかった。そしていま、モビリティの未来のあるべき姿、輸送部門外に拡大するためにいかにIoTテクノロジーを使うか、ユーザーがこれまで以上に簡単に移動できるよう我々のデータをいかに使うかを模索している」。

画像クレジット:WeMoc

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(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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