Luna DisplayでiPadをワイヤレスRetinaディスプレイ化――タッチ操作にも対応

ワイヤレス外部ディスプレイには、ラグや画質、接続の安定性など、まだまだ実用上の問題がたくさんある。しかし、iPadをペンタブ化するAstropadというアプリの開発元が、高品質で簡単に使え、頼りがいのあるワイヤレス外部ディスプレイを作るのは不可能ではないということを教えてくれた。Kickstarterプロジェクトとしてはじまった彼らの新製品Luna Displayは、近日中に販売開始予定だ。

Luna DisplayはUSBメモリとほぼ変わらないくらいの大きさで、Mini DiplayPort(Thunderboltポートにも対応)とUSB−Cポートに対応した2種類のモデルがある。そしてこのドングルとiPad用アプリがWi-Fi経由で連携し、データのやりとりを行うという仕組みだ。

iPad用のディスプレイアプリは、Astropadを含めワイヤレスでMacと接続するものが多い中、なぜLuna Displayは物理的なドングルという形をとったのか? その理由は極めて単純で、Macのグラフィックカードにアクセスするためだ。このドングルは、接続されたMacのグラフィックハードウェアの能力を最大限活用(Metalもサポート)し、ソフトウェアだけでは不可能なレベルのパフォーマンスを実現している。つまり物理的なデバイスのおかげで、Retinaディスプレイを最大限活用し、動画を含むさまざまな種類のメディアを高解像度でiPad上に表示できるのだ。

今回私がレビュー用に受け取ったものはプロトタイプだったため、販売開始までにはさらに手が加えられるものと思われるが、その性能は目を見張るほどだった。実は私は長い間iPadをセカンドディスプレイとして使っており、これまでは満足のいく性能を引き出すために、iPadとMacを有線接続してAstropadの競合にあたるDuet Displayのアプリを使っていた。

Luna DisplayならRetinaディスプレイの解像度を最大限活用できる

Luna Displayの素晴らしい点は、ワイヤレス接続にもかかわらず画質でDuet Displayに勝っているということだ。誤解のないように言うと、Duet Displayも決して悪くはない。しかしLuna Displayの再現性は、ワイヤレス接続では考えられないほど高く、YouTubeなどの動画コンテンツも十分楽しめるレベルだ。

正式なリリース前のソフトウェア・ハードウェアということもあり、ウィンドウを動かしたときやアニメーションや動画コンテンツの視聴時には、画面の一部がピクセル化することもあったが、これも気になるほどではなかった。まだ本プロダクトはベータ段階にあり、アプリもAppleのTestFlight経由で入手したものだということも付け加えておきたい。

上述の問題を除けば、タッチ操作への反応も良好だった。Windowsを搭載したタッチスクリーン対応のマシンが既に多く登場していることを考えると、Macユーザーの中にはこの機能を求めている人もいるだろう。Luna Displayは指を使ったスクロール、ピンチオープンでの拡大、さらにはApple Pencilにさえ対応しており、私が想像していたよりも操作性は遥かに良かった。Astropadによれば、デジタルデザイナー向けに作られたAstropadアプリの機能も、そのうちLuna Displayに導入されるようになるとのこと。

総括として、Luna Displayは携帯性に優れた外部ディスプレイソリューションであり、特に単なるセカンドディスプレイではなく、高い色再現性を誇る外部Retinaディスプレイを求めている人にはうってつけのプロダクトだ。グラフィックの分野ではiPad Proが高い評価を得ているが、iPad Proを即座に外部ディスプレイに変換し、緊急時にはタッチスクリーン式のMacとしても使えるというのは、本当の意味でのゲームチェンジャーだと言える。

Lunac DisplayのKickstarterプロジェクトは現在も継続中で、59ドルでUSB-CもしくはMini DisplayPort対応のドングルをひとつ購入できる(2018年5月出荷予定)。その他にもドングルに加えてAstropad Studioを1年間利用できる99ドルのアーティストバンドルなど、さまざまなオプションが準備されている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake