上場企業となって初の決算で、Lyft(Nasdaq:LYFT)は収益化に向けた進歩を示せなかった。
3月のIPOで20億ドルを調達したLyftの第1四半期決算の売上高は7億7600万ドル(約854億円)で、11億4000万ドル(約1254億円)の損失を計上した。この損失には株式による報酬と給与税の8億9400万ドルが含まれる。売上高は市場予測7億4000万ドルを上回った一方で、損失額はIPO関連の費用のために膨らんだ。
「公開企業として1年目という大事な年の第1四半期は力強いものになった」とLyftの共同創業者でCEOのLogan Green氏は声明文で述べた。「業績は我々のネットワークとマルチモダルのプラットフォームに対する需要の増加に支えられていて、アクティブな乗客数は対前年同期比で46%増え、売上高は95%増えた。交通分野は経済における最大部門の1つであり、個人による車所有からサービスとしての輸送へのシフトはまだ初期段階にある」。
Lyftは、修正後の純損失は2018年の第1四半期が2億2840万ドルだったが、今期は2億1150万ドルだったと述べた。また同社は今年の第2四半期の売上高は8億ドル超、修正後のEBITDA損失は2億7000万〜2億8000万ドルと予想している。通年では総売上高はおおよそ33億ドル、修正後のEBITDA損失は12億ドルを見込んでいる。
Lyftは、PinterestやZoom、そして間もなく加わるUber(前々から言われていたニューヨーク証券取引所でのデビューを今週後半に果たす)などを含む、2019年に株式公開するベンチャー支援のユニコーン群の1社だった。鮮烈なIPOデビューだったにもかかわらず、Lyftの株価はNasdaq上場以来低迷している。上場初日は、IPO価格の74ドルを上回る87ドルをつけた。しかし、IPO後の数週間は60ドル前後で取引され、火曜日は2%下落し59.41ドルで取引を終えた。
Lyftはこれまでに黒字化を達成しておらず、創業者のJohn Zimmer氏とGreen氏はマルチモダルなサービスの拡大、そしてゆくゆくは北米外でのサービス提供など、今後数年間に社の成長のために投資する方針を明らかにしている。
「今後はコミュニティへのサービス提供と、株主への還元で大きな機会がある」とLyftの共同創業者は同社のIPO趣意書に書いている。「我々はコミュニティと株主に貢献する責任を真剣に受け止めている。それを行動と結果で示すことを楽しみにしている。もし我々が世界一の運河や鉄道、高速インフラを構築していると説明すれば、時間がかかることを理解するだろう。同じように、今後の展開は引き続き長期的な考え方、フォーカス、実行を要する」。
Lyftの赤字続きのこれまでを考えた時、アナリストは売上高、アクティブな乗客数、乗客1人あたりの売上に目を光らせることになる。決算報告によると、Lyftの乗客1人あたりの売上は前年同期比34%増の37.86ドルで、アクティブな乗客数は50%近く増え2050万だった。
今回の決算報告の発表はUberのNYSE(ニューヨーク証券取引所)デビューの3日前というタイミングとなった。Uberは1株あたり44ドル〜50ドルと設定していて、もし最も高い価格となった場合、時価総額は900億ドルほどとなる。1億8000万の普通株を売り出し、UberはLyftがIPOで調達した額の4倍にあたる79億ドル〜90億ドルを調達する計画だ。
Lyftの株価の動向をみると、投資家がUberの株式公開に積極的になるのを躊躇するのはありえることだ。ウォールストリートジャーナルは、Lyftの株価の暴落を引用しながら、Uberの幹部が落とし穴を避けようとIPOを前に目標を下げたとしている。
「LyftとUberは米国で熾烈な戦いを展開しているため、Lyftの初の決算はUberの展望についてのヒントとなる」とGoodwater Capitalの最高業務責任者Eric Kim氏はTechCrunchに対し語った。「同時に、LyftとUberはそれぞれ差別化を図ってきた。例えば、Uberは4カ月にわたる会費払い戻しで顧客あたりの利益の数字を上げてきた」。
株式公開後初の決算発表に加え、LyftはAlphabet傘下企業で自動運転車両を展開するWaymoとのパートナーシップも発表した。この新たな提携の一環としてWaymoはフェニックスエリアで今後数カ月にわたってLyftのサービスとして自動運転車10台を走らせる。
LyftがAlphabetに支援されることになるこの提携は、Uberにとって小さな平手打ちのようなものとなる。
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(翻訳:Mizoguchi)