ドメイン登録サービスGoDaddy傘下のMedia Templeが、AWSのためのマネージドクラウドホスティングソリューション(managed cloud hosting solution, 管理サービスつきのクラウドホスティング)をローンチする、と発表した。このサービスを利用する企業は、AWS上のクラウドの構成およびシスアドミンをMedia Templeに代行させることができる。
Media Temple自身が、AWSなどとも競合するホスティングサービスだから、このようなサービスは一見奇妙に感じる。なぜ今どき、管理代行を伴うクラウドホスティングサービスをAWS上で提供することになったのか? Media Templeのプロダクト担当VP Brian Kuhnと担当ディレクターBrendan Fortuneによると、同社自身は奇妙とは考えていない。“これはうちの顧客の高いレベルのニーズに応えるためであり、またそのニーズにはうち自身が確実に対応しなければならないのだ”、とKuhnは語る。
“これはMedia Templeの歴史とも関係があると思う”、とFortuneは言葉を加える。“うちは単純にホスティングを提供しているだけでなく、顧客たちにもっと一般的な、そして複雑なホスティング関連のソリューションを以前から提供してきた”。
これからのMedia Templeは、AWS上でプロジェクトを作りたいと考えている企業も顧客として、彼らの既存のプロジェクトをクラウドに移す手伝いをしたり、彼らのクラウドインフラストラクチャの管理やモニタリングやバックアップ、分析などの業務を引き受ける。
同社の既存の顧客の中にも、今後の成長のために今回の管理つきクラウドホスティングサービスを利用したい、と考えている企業がいる、と考えられる。またKuhnとFortuneの信念では、まったく新しい顧客も惹きつけるはずだ、と。
新しい顧客の例として考えられるのは、システムのより円滑な運用のために、今よりも複雑なクラウドアーキテクチャを求めているeコマースのサイトやクリエイティブエージェンシー、人気の高いコンテンツデベロッパ、インフラの管理を自分でやりたくないクリエイター、AWS上ですでにプロダクトを動かしているが管理をアウトソースしたいと考えているスタートアップ、などが挙げられる。
同社はこれまでの数か月間のベータ期間中に、複数の顧客の協力を求めて、いくつかのパイロットプロジェクトを動かし、新サービスの細部を煮詰めた。
料金はもっともベーシックなプランが月額199ドル、規模やニーズ次第でさらに加算される。たとえば専任の管理者を置き、レスポンスタイムに関するSLAを要求するユーザなら、月額399ドルだ。上限は月額1499ドルで、電話によるサポートがつく。
こういう、完全な管理代行を伴うホスティングサービスを提供しているところは、Media Temple以外にも、Rackspaceなど数社ある。クラウドプラットホームとしてはAWSとGoogle Cloud PlatformとAzureが三強になってしまっているし、またユーザ企業は単純なVPSサービスを卒業して大きく成長し、管理業務などはアウトソースしたい、と考えているところが少なくない。そこで三強以外のマイナー勢力は、まず既存の顧客の、そういう成長意欲に応える新たなサービスを、自らの新たな商機商材としたいのだ。成長機会を求める既存の顧客がAWSへ移行するのを、指をくわえて見ているのは、しゃくだもんね。