DockerコンテナとApache Mesosをベースとするクラスター管理サービスMesosphereは、企業のデータセンターに同社の主要プロダクトData Center Operating System(DCOS)を提供して、リソースの管理を単純に一元化し、その有効利用を導く。その同社が今日、シリーズCで7350万ドルを調達したことを発表した。
このラウンドをリードしたのはHewlett Packard Enterprise(HPE)で、既存の投資家Andreessen Horowitz, Khosla Ventures, および新たな投資家としてA CapitalとTriangle Peakのパートナーたちも参加した。これだけでも強力な面子(めんつ)だが、もっとおもしろいのは、Microsoftが戦略的投資家としてラウンドに参加したことだ。
MicrosoftとHPEは共に、Mesosphereを買収してもおかしくない企業だし、実際に昨年は、Microsoftが買収するという噂があった。しかしこれまでのところMesosphereは、そんな話に抵抗してきた。HPEとMicrosoftが同じ企業に投資するのはおかしい、と思えるかもしれないが、実際には両社は昨年の12月に公式のパートナーシップを発表している。
本誌の前の記事では、このラウンド…Microsoftの戦略的投資を含む…におけるMesosphereの評価額を6億ドルと書いた。同社の調達総額は、これで1億2600万ドルになる。
MesosphereのCEOで協同ファウンダーのFlorian Leibertによると、同社は今後も継続的にエンジニアリングに重点投資をしていきたい、という。“というのも、従来型の企業は今、‘古いスタック’から‘新しいスタック’へ、われわれの予測よりも急速に、移行しつつある。おたく(TechCrunch/AOL)の親会社であるVerizonも、今ではデータセンターのオーケストレーションのためのプラットホームとしてDCOSを使っている。しかもそういうGlobal 2000社の企業は、エンタープライズ級の営業とサポートを(われわれベンダに)求める。今回のシリーズCも大半はエンジニアリングへの深い投資…データセンターのすべての側面を自動化すること…に充てられるが、同時に、営業やサポートチームへの投資も行っていく”。
HPEを投資ラウンドのリーダーに選んだことについてLeibertは、“MesosphereのDCOSとHPEのハードウェアの組み合わせは最強の提案だから、顧客企業における、データセンターの“旧”から“新”への変容を加速する”、と述べた。Microsoftの参加については、“Microsoftは誰が見ても、世界中のほとんどすべての大企業との、強力な商業的関係があり、また同社はAzureを彼らに提供することによって、大企業顧客をハイブリッド展開のクラウドへ移行させようとしている”、というのがLeibertの見方だ。
今日は、新たな投資ラウンドの発表とともに、新しいプロダクトVelocityのローンチも行われた。Velocityは継続的インテグレーション/継続的デプロイメントのためのツールで、オープンソースのJenkins オートメーションサーバーを利用している。Velocityは基本的にはJenkinsに、MesosphereのコンテナオーケストレーションプラットホームMarathonを組み合わせて、スケーラビリティに優れた継続的インテグレーションのプラットホームに仕立てたプロダクトだ。同社によれば、今すでに多くの企業が、この、Mesos, Docker, Jenkinsの組み合わせをベースとする独自のプラットホームを展開している。Velocityはそれを、“どんなタイプの企業でも”利用できる形にまとめたものだ。
〔参考記事: Apple SiriとMesosとMesosphere〕