屋内マッピングは、ビーコン、レーザー、発信機、スキャナなど、多額の資金とインフラストラクチャを必要とするソリューションしかないような難しい問題の1つだ。世界中のモールやオフィスビルに、それらをインストールしたいと考えているのは誰だろう?Microsoft Researchは、既存のセンサーと、誰かが行きたい場所にはほぼもう既に誰かが行っているという事実を活用して、シンプルに問題解決を行なう屋内ナビゲーションアプリを開発した。
現在Androidのみで利用可能なPath Guideは、屋内マッピングのナビゲーションパートに焦点を当てたものだ。自分の移動情報を詳細に視覚化するのではなく、他のユーザーたちが定位置から別の定位置への移動に際して残した「軌跡」を利用するものだ。
それは既に携帯電話の中に備っている加速度計(歩数をカウント)や磁力計(出発した大まかなエリアを検知)といったセンサーを利用する。GPSや、無線ビーコンなどの必要はない。
たとえば、ある軌跡をたどることによって、ビルの正面玄関から12階の特定の会議室へ辿り着くことができる。まず誰かがアプリをロビーで開き、軌跡の記録を指示して、通常通りに会議室まで歩く。次のユーザーはその「軌跡」を辿る。この際既に先の軌跡データは処理されて、「20歩進んで右へ曲がる」といった、基本的な案内指示へと変換されている。
軌跡作成者はその歩行経路に対して、メモ、画像、そして音声などを与えることができる。これは途中必要になるかもしれない、PIN、秘密のドア、あるいは音声パスワードなどに対処するためだ。アプリを持っていない人たちのために、軌跡データをカプセル化して電子メールで送信することもできる。これは拡張現実と呼べるものではないが、とにかくこの情報は使い物になる。
もちろんこれは、不慣れなショッピングモールでOrange Juliusを探す人たちの役にも立つが、視覚障碍をもつ人たちにとって、そのメリットはさらに顕著だ。この粒度での指示を手に入れるのは通常困難だ。この機能は盲目の人が一度も来たことのない場所を案内するのにとても役立つ。また言葉が通じない場所で歩き回るときにも同様に役立つだろう。
このプロジェクトは、Yuanchao Shu、Börje Karlsson、Yiyong Lin、Thomas Moscibrodaたちにより、ほぼ2年間にわたり仕事が続けられて来たものだ。それはまだプロトタイプで、Microsoft自身の投稿でさえ、「まだまだ荒削りな部分がある」と述べられている。しかしその改善を助けることは可能だ、フィードバックが歓迎されている。
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(翻訳:Sako)