昨年夏、MozillaはFirefoxの非常に実験的なバージョンを公開し、Oculus Riftを使ったウェブベースのバーチャルリアリティーアプリ(WebVR)をサポートした。今週、FirefoxのNighlyデベロッパー版でもWebVRがサポートされた。
ではなぜMozillaは、同社のミッションが「ウェブのオープン性、イノベーション、および機会の促進」でありながら、バーチャルリアリティーに力を入れているのだろうか。昨年夏の講演で、MozillaのJosh Carpenter はVRについて「これは非常に重要になる」と考えている、なぜなら「非常に大きなチャレンジであり、自分たちは大きなチャレンジが好きだからだ」と語った。別世界にいるような体験(単にシミュレーションを見せるだけでなく)をユーザーに届けるためには、頭の移動に画面が反応するまでの遅延を最小限にする必要がある。Mozillaは、この取り組みはVR体験だけでなく、あらゆるウェブ体験に役立つものであると指摘している。
これを実現するために、MozillaはブラウザーとVRヘッドセットを簡単につなぐための実験的APIであるWebVRをサポートした。Googleも、VRサポートの実験を開始しているので、すでにブラウザー間のサポートも行われているが、公式な標準機能としてMozillaやGoogleのメインブラウザーがサポートするまでにはまだほど遠い。
現在はこのFirefox最新ビルドでOculus Riftがサポートされている(プラグインのインストールが必要)だけだが、Mozillaは、Linux、Firefox for Android、およびGoogleのCardboardのサポートも追加する予定だと言っている。
Mozillaは、asm.js等のプロジェクトを通じて、ブラウザーやJavaScriptベースアプリに、ネイティブ並みのスピードをもたらす努力を続けてきた。私はブラウザーがバーチャルリアリティーを体験するための最適な場所であるというアイデアには、まだ十分納得していないが、オープンなエコシステムを作ることによって、様々なVRベンダーによる囲い込みを避けようとするMozillaのアプローチは注目に値する。優れた現実感を得られるかどうかは、反応の遅れをどこまで減らせるかにかかっている。MozillaはJavaScriptの性能をネイティブにできるだけ近づけているものの、現時点ではネイティブVRアプリの方が常に一歩リードしている。それでも、もしこのプロジェクトがブラウザー性能を高め、使える(最高でなくても)レベルのブラウザーベースVR体験を提供することができるなら、私は大賛成だ。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)