今日(米国時間8/25)NASAは、衝突テスト用ダミー2体を載せた宇宙船Orionの実物大模型をプールに落とした。テストは地球帰還時に着水するシナリオを想定して行われた。所要時間は約10秒間で、これNASAが4月に開始した全10回にわたる水面衝撃テストの第9回目に当たる。
今日のテストは、パラシュート1基が開かなかった場合を想定して、Orionが振り子のよう揺られた。数秒間揺られた後Orionは、NASAラングレー研究センターの屋外に設置された深さ3メートルの水面衝撃試験用プールに落とされた。
下のビデオを19:20まで早送りすると着水の様子が見られる。
実物大模型の中には様々なセンサーを備えたテスト用ダミー2体が載せられた ― 1体は体重48 kgの女性を、もう1体は体重100 kgの男性をモデルにしている。いずれのダミーも宇宙服を着せられ、取り付けられたセンサーを用いて、着水の衝撃が宇宙飛行士に与える影響を分析することが可能だ。
Orionは、ステロイドや火星のような深宇宙の天体に人間を送り込むためにNASAが利用しようと計画している宇宙船だ。地球に戻ってきた時、Orionはパラシュートを開いて減速しながら海面へと降下する。アポロ計画の宇宙飛行士たちが帰還したのと似たやり方だ。
しかし、Orionは全く新しい宇宙船だ ― いわばアポロの乗員用モジュールの強化版。このため 着水時の様々なシナリオの中でOrionがどう振舞うかを理解するために、NASAは一連のテストを行う必要がある。
宇宙への旅で最も注目を集めるのは目的地だろうが、宇宙飛行士たちが無事帰還しない限り、NASAにとって深宇宙ミッションが成功したとは言えない。しかも、長期間無重力環境におかれていた飛行士たちは着水前に体力を消耗しているため、任務はいっそう困難になる。
これを踏まえ、現在NASAは過酷な天候からパラシュート開傘の失敗まで、着水時の様々なシナリオを想定してOrionの有人飛行に備えている。
Orion初の有人飛行は、2023年の探査ミッション2まで待たなくてはならないが、それまでにもOrionは重要な貨物を積んで飛ぶ予定だ。
2014年12月、NASAは探査飛行テスト-1(EFT-1)を完了し、Delta IV Heayロケットを使って無人のOrionを高度5800 mに打ち上げ、地球軌道を周回させた。過去40年以上の間に設計されたどの有人宇宙船よりも遠くへ飛んだことで、EFT-1はNASAの(近代)有人宇宙探査の大きな節目となった。
今回のテストを含めNASAが実施してきた数多くのテストは、 Orionの次の重要なフライトである「探査ミッション1」(EM-1)に向けたものだ。EM-1は、Orionが相棒ロケットともいえるSpace Launch Systemによって打ち上げられる初めての飛行という意味で、特に注目されている。
EM-1の打ち上げは、2018年9月に予定されている。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)