NASAのジム・ブライデンスタイン長官が、有人での月ミッション再開にあたり、定期的に物資を送り込むための輸送船開発に関わる民間企業9社を発表しました。Commercial Lunar Payload Services(CLPS)と称するこのプログラムに選ばれた9社のなかには、航空宇宙産業大手ロッキード・マーティンなどが含まれます。
リストには、Google Lunar XPRIZEに参加していたことで知られるAstrobotic TechnologyとMoon Express、人工衛星打ち上げ用宇宙往還機 DARPA XS-1の入札に加わっていたMasten Space Systems、ほかDeep Space Systems、Draper、Firefly Aerospace、Intuitive Machines、Orbit Beyondといった名前が記載されています。
なお、共同通信はこの9社に日本のispaceが含まれると報じています。しかし上記リストにその名前は見当たりません。実は、NASAはプログラムの主契約者は米国拠点でなければならないと定めているため、ispaceはDraperとのパートナーシップという格好でこのプログラムに加わっているわけです。
ispaceはDraperほか数社とのチームで輸送船の全体的な設計を受け持つことになっています。また、Draperには実際にアポロやスペースシャトルのミッションに携わったエンジニアが在籍しており、輸送船の着陸装置や航行システムを開発する予定です。
NASAは、早ければ2019年にもミッションを開始するとして、この10月に研究提案の受付を開始しました。「この初期ミッションは将来の有人探査に必要な着陸機や探査機器のに関する重要な技術のデモンストレーションを可能とし、さらには人類を火星探査へと送り込むのを助けることになるだろう」とNASAは述べています。
CLPSプログラムには上記9社だけでなく、今後いくつかの企業が加わる可能性もあるかもしれません。ブライデンスタイン長官は「この発表は、米国が月面に戻りそこに根付くための第1歩だ」「米国の航空宇宙企業が科学探査および有人探査において、協力を密にして大きなゴールを目指すことは、月で驚くべき成功を収め、さらに火星へ足を伸ばすために大いに役立つだろう」と語りました。
Engadget 日本版からの転載。