NASAとボーイング、ボーイングとロッキード・マーティンの合弁宇宙事業であるULAは12月20日に、米国の有人宇宙飛行再開に向けた重要な打ち上げを予定している。OFT(軌道飛行テスト、Orbital Flight Test)はボーイング製のCST-100 Starlinerと呼ばれる乗員カプセルをULAのAtlas Vロケットで打ち上げ、ISS(国際宇宙ステーション)にドッキングさせる。これは有人宇宙飛行に向けた最後のテストの1つだ。
今週のミッションの目的
気象条件その他が許せば、現地時間で12月20日にULAのAtlas VがボーイングのCST-100カプセルを打ち上げる。このテストは簡単にいえば、来るべき有人飛行テストCFT(Crew Flight Test)のためのドレスリハーサルだ。OFTはもちろん極めて重要な打ち上げだが、ボーイングのStarlinerカプセルが実際の有人飛行を行うにあたっては、パラシュートシステムの信頼性テストをクリアしなければならない。また今回の打ち上げで得られたデータがすべて予期どおりであることを確認する必要がある。
【略】
今回のミッションではStarlinerカプセルはAtlas Vロケットの先端に取り付けられて高度180kmまで上昇し、そこでロケットから切り離され、カプセル自身のエンジンでISSに向かう。ISSの宇宙飛行士がカプセルをモニターし、ロボットアームでドッキングの最後の段階を助ける。ミッションとしては二次的重要性だが、カプセルには270kgの補給物資、装置が搭載されている。ペイロードがISSに移された後、カプセルはドッキングを解かれ、地球に帰還する。
ローンチ・ウィンドウ
打ち上げは米国東部時間12月20日午前6時36分(日本時間12月20日午後8時36分)にケープカナベラル空軍基地のSLC-41から発射される。天気予報は「80%程度可能」ということだ。
ローンチ・ウィンドウと呼ばれる打ち上げ可能な時間は予定時刻のみに限られており、この時刻になんらかの支障が起きれば21日ないし23日の予備日に切り替えられる。予定どおりに打ち上げられた場合、カプセルは翌日朝にISSにドッキングする。切り離しは28日に予定されている。帰還も今回のミッションでは重要な部分だ。
近づく有人飛行再開
すべてが計画どおり順調に進めばStarliner CST-100カプセルは有人宇宙飛行に向けて大きく前進する。上で述べたようにパラシュート・システムは安全規定をクリアするためにさらにテストが必要だが、各種のシステムの安全性が確認されれば、最初の有人飛行であるCFTミッションは「2020年の早い時期」に行われる予定だ。
米国時間12月18日に、ULAは移動式発射台をロールアウトし、Atlas Vロケットを発射予定地点に運んだ。NASA、ボーイング、ULAのエンジニアは発射のための最終調整に入っている。発射準備は2週間前からスタートしており、実際の発射を除くすべての手順がリハーサルされた。
TechCrunchでも発射のもようをライブで中継する予定だ。またその結果についても情報を得しだい記事を公開する。
【Japan編集部追記】CST-100カプセルの着陸はニューメキシコ州ホワイトサンズ空軍基地をはじめ、米国本土西部の5カ所が候補となっており、9月に着陸テストが実施されている。
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