NASAが1977年に打ち上げた探査機ボイジャー2号が、11月5日に太陽圏の外側にある星間空間に到達しました。ボイジャー2号は現在、地球から110億マイル(約177億km)の彼方を飛んでいます。
ボイジャー1号は2012年に太陽圏を飛び出し星間空間に達したとされています。そしてNASAはこの10月、ボイジャー2号もまもなく太陽圏の外側に出る可能性があると発表していました。
ボイジャー1号の太陽風検出器は1990年にその機能を停止してしまったものの、ボイジャー2号のそれは依然として正常に動作しています。そして11月5日にはこの太陽風の粒子速度が急激に低下するのを観測。それ以降太陽からの風をまったく測定していません。これは太陽圏を脱出したことを意味します。さらにボイジャー2号の低エネルギー荷電粒子プローブ、磁力計、宇宙線サブシステムといったセンサー類も、太陽圏を出たときにおこると予想されていた通りのデータを記録しました。
1977から41年を数えるボイジャーは、当初は5年間、木星と土星を調査するのが最大の目的でした。しかし、両機ともまだ稼働中であり、NASA最長のミッションとなっています。NASAの太陽系物理学担当ディレクターニコラ・フォックス氏は「私たちの研究は太陽から始まり、太陽風が届く範囲の外へと広がります。ボイジャーが送り届けてきた太陽圏の縁に関する情報は、われわれに未知の領域を垣間見せます」述べています。
ボイジャー1号と2号は太陽風が届く太陽圏から外へと出ましたが、これは正確には太陽系から飛び出したことを意味しません。太陽系の最も外縁部には太陽の重力に影響を受けて漂う天体からなるオールトの雲があるとされます。両機はともに、最終的にはそこに到達するはずですが、オールトの雲の内縁に到達するのに約300年、外縁には約3万年がかかるだろうと、科学者らは推測しています。
ちなみに、40年以上も前に打ち上げた探査機と地上で通信ができているのは、ボイジャーに搭載する太陽センサーのおかげ。太陽と恒星カノープスの位置から割り出した地球の方向にアンテナを向けることで現在の通信は成り立っています。しかし、太陽から遠ざかるにつれ太陽光の検出が難しくなるため、ボイジャー2号との通信は2030年前後には途絶えると考えられています。
Engadget 日本版からの転載。