InSight火星探査機は先週、Elysium Planitiaエリアへの完璧な着陸を果たした。現在同機は地面の下への掘削の準備に大忙しだ(そしてもちろん自撮りも行った)。しかし、「予定外の作業」の1つが、火星の平野を吹き渡る風の音の録音だった。その音は記事の下の方のリンクから聞くことができる。
技術的に言えば、探査機は音を検知するようにはできていない。少なくとも慎重に音を録音しようと準備しているときのようには。しかし、ロボットプラットフォームの空気圧センサと地震計は、両方とも風が吹き抜けていく際の微かな変化を検出することができる。上の写真に見ることができる銀色のドームの中に置かれた空気圧センサーが、ほぼ通常の音の信号を生成するが、それでも仮に火星の大気の中に立つ人間が居たとして、実際に聞くことのできるような音の信号にするためには、かなりの調整が必要だった。
「InSight探査機は巨大な耳のように働きます」とNASAのニュースリリースで説明したのは、InSight科学チームのメンバーTom Pikeである。「探査機の横のソーラーパネルは、風の圧力変動に反応します。まるでInSightが耳に手をあてて、その耳に当たる風を聞いているようなものです」。
それがどのような音かに興味があるだろうか?録音された音ははSoundCloud上もしくは以下のリンクから聞くことができる:
ほぼ普通の風のように聞こえるって?何か違うものを期待していただろうか?宇宙探査の多くの側面と同じように、現象そのものはありふれたものだ ―― 岩石、景観、風の音など ―― だがそれが、現象が数百万マイルの彼方にある見知らぬ世界で起きていて、ハイテクロボットによってここまでリレーされて来たことを思うと十分に感慨深いものとなる。火星の風の音は地球上の風とはあまり違わないかもしれないが…そんなことは問題ではない!
興味がある人のために付け加えれば、録音の中の風の動きは北西からのもので、その地域に見られる「ダストデビル(アメリカ南部の旋風)による風紋」に一致している。InSightの「耳」をその目的のために使えることがわかったことは良いことだが、探査機の科学的ターゲットはあくまでも地下であって、地表を調べることではない。
すぐにより多くの録音が増えることだろう。それを眠りにつくためのノイズとして利用することもできる。しかしこの先さらに良い音が期待できる予定だ:Mars 2020ローバーが、真に高品質のマイクを搭載し、火星の環境音はもちろん着陸音も録音する予定なのだ。
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(翻訳:sako)