Netflixが月440円のモバイル専用プランをマレーシアで提供開始

Netflix(ネットフリックス)は、インドで展開しているモバイル視聴限定の低価格プランをグローバルマーケットに拡大する。米国のオンデマンドビデオストリーミング大手Netflixは米国時間10月24日、新価格のサービスをマレーシアで開始した。月額17リンギット(約440円)で視聴できるというものだ。

この新プランは月額7.8ドル(約850円)からで利用できる既存のプランと並行して提供される。既存プランではモバイル端末からのアクセスは1台に限定され、コンテンツは低画質で提供されている(標準解像度は480p)。このプランの購読者はコンテンツをテレビやラップトップPCで閲覧することはできない。

Netflixは低価格のモバイルプランのテストを昨年、マレーシアを含む多くのマーケットで開始した。「真にモバイルファーストの国であるマレーシアにおいて新プランはNetflixへのアクセス増に貢献するだろう」と同社は語っている。

産業推計によると、マレーシアの88%超の人がスマートフォンを保有していて、一方でインターネットユーザーは78%だ。およそ3200万人がメディアコンテンツをストリームしたりダウンロードしたりしている。

Netflixでプロダクトイノベーションを担当するディレクターであるAjay Arora(エージェイ・アローラ)氏は発表文で次のように述べている。「マレーシアのNetflixユーザーはスマートフォンやタブレットで番組を観るのが好きだ。東南アジアで初となるモバイル限定プランで、マレーシアの人々はすべてのNetflixの番組や映画をストリームしたりダウンロードしたりしやすくなる」。

インド同様、NetflixはマレーシアでもiFlixやDimsum、playTV、Astro Goといった攻めの価格設定をしている多くのサービスと競合する。そしてほかのマーケットでもそうだが、マレーシアの視聴者によりいいものを提供しようとオリジナルコンテンツの制作に投資している。今後提供されるシリーズThe Ghost Brideはマレーシアで撮影・制作された。コメディシリーズのPolis EvoとJagatもまたマレーシアの視聴者の間では人気だ。

TechCrunchがこれまでに指摘したように、Netflixの標準価格では世界のあらゆるところで利用してもらえない。多くのライバルが低価格でサービスを提供しだすようになってからは特にそうだ。この点についてNetflixは公に認めるようになっている。先週の四半期決算発表時、「同社の役員は月額2.8ドル(約300円)のモバイル限定プランがインドで受け入れられていることは喜ばしい」と述べた。

「価格面での我々のアプローチはこれまでのところ売上につながっている。インドでのモバイルプランの利用と浸透は当初のテストを上回っている。これにより我々はさらに顧客の満足度を高めるため、インドのコンテンツにより投資できる。全購読者ベースにおける割合は小さいが、他のマーケットでもモバイル限定プランのテストを継続している」と述べた。

Netflixのプロダクト責任者Greg Peters(グレッグ・ピータース)氏は「他のマーケットでさまざまなプランや「機能バリューベネフィット」を開拓して視聴者の反応を見極める」としている。いくつかのマーケットでは、週単位のプランのテストを行った。

今回のマレーシアでのモバイル専用プランは、Netflixが発展国での価格を少しずつあげている中で発表された。例えば、米国では今年最も人気の月額サービスの価格を13ドル(約1400円)に改定した。いまやテック大企業やケーブルネットワーク、スタジオが自前のサービスを展開しようとしていて、世界中の人々が疑問を抱えている。「暮らしの中で一体いくつのビデオアプリが必要なのだろうか」。

Netflixは先週、2四半期連続で購読者数が予想を下回ったことを明らかにした。7〜9月に新たに680万人の購読者を獲得したが、目標の700万人には届かなかった。680万人のうち、アナリスト予想の600万人を超えた630万人は米国外の利用者だった。

画像クレジット:Krisztian Bocsi / Bloomberg / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。