3月16日から約4ヵ月間にわたり、AR謎解きゲーム「サラ謎」シリーズの第二弾、「サラと謎のハッカークラブ2」を提供するプレティア。TechCrunch Japanでは新作公開直前に、同社の代表取締役CEO、牛尾湧氏に同作品や同社の今後の戦略に関して話を聞いてきた。同氏は中でもARゲーム提供による“コミュニティー形成”を重視しているようだった。
サラ謎第二弾はより“しっかりAR”に
まず、新作のサラと謎のハッカークラブ2に関して。サラ謎シリーズは「HACK PAD(ハックパッド)」と題されたオリジナルアプリを使って遊ぶAR謎解きゲームだ。
第一弾では渋谷を舞台としたSFチックな世界観が特徴的だったが、第二弾もそのテイストを引き継いでいる。ちなみに第1弾に参加していなくても楽しめる仕様になっているとのこと。
第二弾のストーリーを簡単に説明すると、ある日、「ハッカークラブ」という秘密集団のエース「サラ」から突然メッセージが届き、「渋谷の街をサイバー攻撃から守って!」と告げられる、というもの。
プレイヤーたちは渋谷駅前の岡崎ビルに集合し、そこで注意事項などの説明を受けてから街へと繰り出し、150分間の制限時間内に数々の謎解きを攻略しクリアを目指す。
牛尾氏いわく、第一弾で一番苦労したのは「GPSの扱い」だったという。たとえば「特定の場所に行ったらメッセージが届く」といった類の機能。GPSはスマホに非常に負荷をかけるため、第二弾の開発ではスマホへの負荷を減らしつつユーザーの体験をスムーズなものにするための最適化に注力した。
また、第二弾は前作とくらべてAR機能がふんだんに増えており、ネタバレになるのであまり多くは書けないのだが、より“ARらしい立体を駆使した”ゲーム体験ができる、と説明しておこう。
ARゲームを通じた“コミュニティー拡大”の重要性
これまでに数千人がプレイしてきたサラ謎。プレイヤーは20から30代が中心で、半数のプレイヤーは女性。牛尾氏によると「エンタメコンテンツは男性だけに消費されるというケースもある」が、キャラクターの監修や作り込み方、評価ポイントなどを工夫し、女性客の獲得に成功した。
初期のプレイヤーはコアな「謎解きファン」が多かったが、体験者がSNSなどでプレイ経験などについて投稿することにより、今では「まだ謎解きはプレイしたことがない」ようなライトユーザーも増えてきた。
牛尾氏は「サラ謎、あるいはプレティアという“体験のブランド”のファンを獲得し、ファン同士の交流が活発となるようなコンテンツを作っていきたい」と話す。
同氏いわく、コミュニティーを形成するには「サラ謎の提供の過程にお客さんを巻き込んでいく」ことが重要。そして「プロダクトの体験はマーケティングの段階から始まっている」と加えた。そのため、同社はクラウドファンディングにも力を入れている。
サラ謎2公開と同時の3月16日開始するクラウドファンディングは「『サラと謎のハッカークラブ』の公式ミュージックビデオをつくる」というもの。特典には、6月23日開催予定の声優をゲストに招いた「200名限定イベントの参加チケット」などが用意されている。
牛尾氏は「“一緒に作っていく”ことでお客さんのエンゲージメントも上がる」と説明した。
サラ謎2のプレイスタート可能時間は9時30分から19時で、体験時間は150分程度。料金は平日が1290円、休日が1990円。プレイするにはアプリに対応したスマホが必要だが、非対応端末を持っている方限定で有料レンタルも可能だ。開催期間は3月16日から6月30日までとなっている。
プレティアの今後と“次回作”
牛尾氏いわく、サラ謎の体験者はブログなどでプレイ体験について投稿する際に、「街を歩くこと自体が非日常になる」「渋谷の街の新しい表情が見えた」などとコメントすることが多い。そして、そのような用途で、ARゲームを「観光用途などで利用したい」といった問い合わせがあるのだという。
牛尾氏は前回の取材で「地方にはエンターテインメントが少なく、楽しめることがあまりない」が、ARゲームを使えば「今まで置けなかったところにも面白いコンテンツを置くことができる」と話していた。
現段階では具体的なプロジェクトは決まっていないが、地域の商店街と話す機会も増えてきているそう。自身もARを活用した“地域活性化”に可能性を感じているため、「そういう事例を作っていきたいと思っている」(牛尾氏)という。
また、地域活性化以外にも、同社のコンテンツ制作能力を活かした「エンタープライズ向けの展開も視野に入れている」と同氏は加えた。
まだサラ謎2の公開前の段階だが、3作目のプランニングはすでに後半期に入っており、今夏には「サラと謎のハッカークラブ3」の開催を開始する予定だ。