NSAは、フェリペ・カルデロン前メキシコ大統領のメールを在任中に読んでいた

元NSA契約社員エドワード・スノーデンが漏洩した文書によると、NSAは前メキシコ大統領フェリペ・カルデロン氏のメールを、大統領在任中にハックしていた。Der Spiegelが報じた

「フラットリキッド」と呼ばれる同作戦では、メールサーバーに不正侵入してアカウントにアクセスした。破られたシステムは、他のメキシコ政府高官も利用していた。

カルデロン氏はすでに大統領を退いているが、米国政府との密接な関係でよく知られている。両国は重要な貿易取引国であり、長い国境線を共有し、経済関係も深い。さらには、麻薬取引や麻薬がらみの暴力という共通の問題も抱えている。

NSAがカルデロン氏を詮索していたことはさほど驚くにあたらない。去る9月には、NSAがカルデロン氏の後任、エンリコ・ペーニャ・ニエト大統領に対して、彼がまだ候補者だった時代にスパイ行為を働いていたことが暴露された。

これらの暴露情報を考え合わせると、結論は単純だ。同盟国であろうと敵国であろうと、米国政府はそこを完全に自国の法的権限、活動の範囲内であるとしてその行動をスパイする。

Der Spiegelはその点を良く理解して示唆している。「しかし、NSAが一コンピューターシステム全体を系統的に監視していることが暴露された今、より深刻な議論を呼ぶ可能性が高い。とりわけNSAのこのスパイ行為が、ペーニャ・ニエト氏の前任で過去のメキシコ大統領の誰よりもワシントンと密接な関係にあったフェリペ・カルデロン氏在任中に起きたことは重大である」。全くその通り。

協力の見返りが産業用グレードのスパイ行為というのはいただけない。現メキシコ政府にとって、交渉相手に自国内部のやりとりを見られているとしたら、どうやってアメリカを信じればいいのだろうか。

正直なところあなたは、米国政府がメキシコ政府の監視を中止したとお思いだろうか。あるいは、NSAの触手が届くあらゆる政府についても。

トップ画像提供:Matthew Rutledge

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。