NTTテクノクロスは10月11日、母豚(ぼとん)を撮影するだけで繁殖に最適な増体(体重の増減)を管理できるシステム「any-condition」(エニコンディション)を2021年10月26日から発売する。
豚の繁殖においては、適正な給餌と給水の管理による母豚の増体管理が決め手となる。しかし、母豚は通常、体重が200kgを超えるため、体重測定には大変なコストと労力を要する。専用の体重計も高価なため、多くの養豚業者では目視や触診による推定や、超音波による背脂肪厚の測定などが採り入れられているが、いずれも熟練の技術が求められ、誤差も生じやすい。
NTTテクノクロスは、山形県養豚研究所と伊藤忠飼料との2年間の共同研究により、母豚の胸囲が増体変化に大きく関わっていることを突き止めた。また、NTTテクノクロスが開発した、撮影するだけで肉豚の体重が推定できる小型端末「デジタル目勘(めかん)」の技術を応用し、「any-condition」を開発した。
「any-condition」の主な特徴は次の3つ。
- 非接触で簡単計測:母豚の背中を撮影し胸囲を推定。従来の測定作業と比べて手軽に素早く計測ができる
- 給餌管理に活用:推定した胸囲から母豚の太り具合を自動評価。増体推移はグラフでも確認でき、熟練の知識や勘がなくても給餌量の調整が可能。繁殖に最適な増体管理を実現し、飼料コストの最適化も図れる
- 繁殖成績の見える化・分析に活用:データの蓄積により品種や飼養環境に合わせた農場ごとの増体推移曲線を作成可能。増体変化と繁殖成績の紐づけにより、繁殖傾向の見える化や分析が行え、繁殖成績の改善をサポートする
導入価格は母豚の頭数によるが、100頭以上の場合、初期導入費は7万2000円から。年間ライセンス料は2万8000円から。1000頭以上の場合は、初期導入費が60万円。年間ライセンス料は24万円となっている。これとは別に、スマートフォン、深度センサーなどの機材一式(10万円程度)が必要となる。