ここ数日憶測が飛び交っていたが、NVIDIA(エヌビディア)はチップメーカーのMellanox(メラノックス)を69億ドルで買収することを正式に発表した。交渉はまだ続いているものの、1株あたり125ドルを現金で支払う。この統合ではスーパーコンピューター向けのチップを製造することになるが、これはクラウドサービスの時代、極めて重要なマーケットだ。
この買収は2019年末のクローズが見込まれる。
メディアを賑わせていたこのニュースでは、もともとはイスラエルで創業され、今はサンノゼを拠点とするMellanoxを巡り、NVIDIAとインテル、マイクロソフトが獲得戦争を繰り広げていると報じられていた。興味深いことに、最終価格は報道されていた最後の提示価格よりも低いものとなっている。最初にマイクロソフトがMellanoxに興味を示しているとの報道があった。そして、そこにインテルが60億ドルで買収する意向との報道が加わった。最後にNVIDIAが登場し、報道ではキャッシュ70億ドルでの買収を提示したとされている。
これらの提示額はすべて、金曜日時点でのMellanoxの終値に基づく59億ドルを上回っている。
このディールはプロセッサー業界で進んでいる統合を象徴するもので、NVIDIAにとってはマーケットシェアを伸ばすために、特に高性能コンピューティングとスーパーコンピューターの分野において重要なものとなる。2社の統合は、世界で最も大きなコンピューター500台の半分超、「メジャーなクラウドサービス事業者とコンピューターメーカーのすべて」をカバーする。
このディールは、同じマーケットにエネルギーを費やしている他のベンダーの手からMellanoxを奪い取るものとなった。他のベンダーの一つ、インテルはCascade Laekチップなど高性能コンピューティングに力を入れていて、一方でIBMは今年初め世界初の商業量子コンピューターお披露目するなどその取り組みを発表している。
NVIDIAはコンピューティングに力を注いできていて、かたやMellanoxはイーサネットや他のネットワーキング技術を通じた分野を専門とする。新たなコンピューティングやデータ移送を解決するこの2社の統合ではAI、クラウドサービス、スマホや他の接続デバイスの使用の拡大、自動運転車などまだ存在しない技術などに関するものに取り組むことになる。
「AIとデータサイエンス、何十億人という人が同時にコンピューターにつながるという状況の出現は、世界のデータセンターに対する需要をうなぎ登りにさせている」とNVIDIAの創業者でCEOのJensen Huang氏は声明文で述べた。「この需要に応えるためにはインテリジェントネットワーキングファブリックを介して膨大な数の高速コンピューティングノードを接続させる全体的なアーキテクチャが必要だ。次世代のデータセンター規模のコンピューティングソリューションを生み出すために、NVIDIAのコンピューティングプラットフォームを世界でも有数のMellanoxのネットワーキングプラットフォームと結合させることを楽しみにしている。特にMellanoxの先見性のあるリーダー、そして明日のコンピューターをつくる素晴らしい人たちと一緒に働くことに興奮を覚える」。
NVIDIAはまた「さらなるパフォーマンスや利用、顧客のための運営コスト低減を達成するために全コンピューティング、ネットワーキングにかかるデータセンター規模の作業量を最適化するという点で」特にMellanoxに関心を持っていると述べた。この2社はすでに協業したことがあり、中でも米国エネルギー省のための世界最速スーパーコンピューターSierraとSummit構築で共に働いている。NVIDIAはまた、多くのクラウドサービス事業者が2社と協業したことにも触れている。
統合完了後も、NVIDIAはイスラエルの人材に引き続き投資する意向だ。その一つが世界で最も重要なテクノロジーセンターだ。今回の統合によって顧客向けの販売やサポートに変更は生じない。
「我々はアクセラレーティッドコンピューティングに関してNVIDIAと同じビジョンを共有している」とMellanoxの創業者でCEOのEyal Waldman氏は声明で述べた。「2社の統合は、我々の長年のパートナーシップの自然な延長上にある。この合体はパワフルなテクノロジーや2社の社員にとって素晴らしい機会の創造を促すだろう」。
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(原文へ、翻訳:Mizoguchi)