NvidiaのQ4売上高は前年同期比41%増、粗利率が改善するも通期の不調は挽回できず

人工知能向け、およびグラフィック向け の大手半導体チップメーカーであるNvidia(エヌビディア)は2月13日、2020年1月26日を期末とする2020年度の第4四半期決算(2019年11月〜2020年1月)を発表した。同四半期の売上高は31億1000万ドル(約3420億円)となり、前年同期から41%の増加、第3四半期からはわずかな増加となった。

重要なのは粗利率の改善で、前期の54.7%から64.9%へ著しく改善した。同四半期の純利益は9億5000万ドル(約1050億円)だった。決算発表後、時間外取引を行うトレーダーが同社株に殺到し、Yahoo ファイナンスによると株価は約6.32%上昇した。

良いニュースだが通期の財務数値の悪さを挽回するには至らず、全体的にはやや複雑になった。2020年度の売上高は2019年度と比べてわずかに減少し、営業費用、営業利益、純利益、希薄化考慮後利益はすべて想定外の結果となり、数値によっては30%以上減少した。

エヌビディアの2019年の苦戦はチップメーカーに限ったことではない。昨年は半導体業界全体が苦しんだ。業界の売上高総額が最後にこれほど急激に減少したのは10年以上前だ。要因は複数あるが、市場の一部における需要減退や供給過剰が価格低下、つまり売上減少を招いたほか、進行中の米国、中国、韓国、日本の間の貿易摩擦などだ。

同社自体は近年、数多くの浮き沈みを経験した。仮想通貨の波に乗って同社の株価は急騰した。これは仮想通貨のマイナー(採掘者)がGPUを求めたからだ。GPUは、仮想通貨プロトコルで行われる多くの確認作業で中核となるハッシュ関数を処理するツールとして有利な立ち位置にいた。だが、仮想通貨の冬が同社の株価を暴落させ、2018年の終わりには50%という激しい下落に見舞われた。

ただし過去1年間で潮目が変わった。今年約150ドル(約1万6500円)で始まった株価は、今日約271ドル(約2万9800円)で終え、上げ幅は80%以上となった。その背景には、半導体業界の他の分野もそうだが、シリコンが新しい業務分野でより必要とされているという感覚がある。自動車、高性能コンピューティング、IoT、さらには5Gなどだ。ちなみに同社は、チップメーカーのMellanoxを昨年初めに69億ドル(約7600億円)で買収している。

大企業の世界のそうした熱狂がベンチャーの世界にも現れている。新しい業務分野をターゲットにしているCerebras(せレブラス)、Nuvia(ニュービア)、Graphcore(グラフコア)などのスタートアップの動きが、エヌビディア、Intel(インテル)などの既存企業に対しスタートアップを上回る業績を出すプレッシャーとなっている。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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