OpenStackのJunoリリースはビッグデータとネットワーク仮想化が目玉

パブリックやプライベートのクラウドを構築するための基盤となるオープンソースのソフトウェアOpenStackは、業界の多様な大物たちが支えている。その同社が今日(米国時間10/16)、最新リリースJunoをローンチした。

いつもと同じくこのリリースにも、このプラットホームのサービスすべてにわたるアップデートが含まれている。それらはクラウドコンピューティングからストレージサービス、アイデンティティ管理、大量のデータを処理するためのツールなど、多岐にわたる。しかし今日のリリースのハイライトは、ビッグデータクラスタの配備を自動化する新たなデータ処理サービスが加わったこと、Object Storageのポリシーコントロールの粒度の柔軟化、そして、主に通信業界のOpenStackユーザから求められていたネットワーク機能の仮想化(network function virtualization, NFV)が初めてサポートされたことだ。

OpenStack FoundationのCOO Mark Collierによると、このリリースにはOpenStackのユーザとオペレータの意向が色濃く反映している。その最強の例が、たぶんNFVだろう。“これは、OpenStackにとってとても大きな機会になるだろう”、とCollierは言う。通信企業や自前のネットワークを持つ大企業などは、NFVによってネットワーキングサービスの多くを高価なプロプライエタリのハードウェアからコモディティの(==安価な日用品的)サーバに移せる。それは巨額なコスト節減をもたらすが、しかしそのためのソフトウェアには非常に高度な安定性と、リアルタイムの高パフォーマンスが要求される。

Collierはこう述べる: “もしもぼくが通信企業で音声通話用のハードウェアシステムをソフトウェアに移行させたいと思ったら、そういう仮想化を行うレイヤで通話が絶対に落ちないことを事前に確証する必要がある”。そこで今回の最初のリリースでは、高パフォーマンスの安定供給に力を入れ、さらに今後のリリースでは機能の多様化を図りたい、という。

OpenStackのJunoリリースには、新しいデータ処理サービスが加わる。これによって、ビッグデータ分析のためのHadoopやSparkクラスタの配備と管理が自動化される。このサービスは単純なApache Hadoopのサービスとしてスタートしたが、その後徐々に、HortonWorksやClouderaのHadoopサービス、それにSparkも加えていった。

また、上でも触れた、OpenStackのObject Storageのポリシーの粒度をより細かく管理できることも、多くのユーザにとって重要だ、とCollierは指摘する。これによってユーザは、複数のバックエンドやリージョンにまたがるデータの保存、複製、そしてアクセスを、より緻密にコントロールできるようになる。たとえばこれからは、一つあれば十分なバックアップを、三箇所に分割して作る必要がなくなる。

さらに今回のアップデートでは、OpenStackの複数のクラウド間で認証を統一できるようになる。たとえばCERNのようなOpenStackユーザは、自分のプライベートクラウドを持ちつつ、それの容量をパブリックなサービスで増強できる。しかもこれからは、研究者が自分の単一の認証データで、それら二つのクラウドにアクセスできるようになる。

このJunoリリースには、新しい機能が合計310、バグフィクスが3200箇所ある。詳しいリリースノートは、ここで見られる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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