Oracleは当初から単一企業による1兆円、向こう10年に渡る国防省クラウドネットワーク(JEDI)の契約先選定プロセスを嫌っていた。Oracleは「この選定プロセスはAmazonをえこひいきするものだ」と聞くものがあろうとなかろうと誰彼構わず主張し続けた。
しかしこの件の訴訟でOracleはまたも敗訴した。8月2日、連邦控訴裁判所は「単一企業を受注先とするこの選定基準は根本的に欠陥があり不当だ」とする Oracle の訴えを退けた。また同裁判所は国防省の募集要項(RFP)作成者に Amazon の元社員が含まれていたことが利益相反にあたるとするOracleの主張も認めなかった。
後者の点について裁判所は「契約担当者に含まれていた(Amazonの)元従業員が利益相反の可能性について適切な評価を行ったかどうかという点について、当裁判所はそのような評価が行われたと判断する」と判示した。
裁判所はさらにOracleは契約に応募するために必要とされる基本的な要件のいくつかを欠いていたとして、同社の主張の一部は訴えの利益がないと判断した。また主張の他の部分についても「入札過程における調達法規に関するいかなる違反も国防省には認められなかった」とした。
今回の控訴は調達契約を白紙に戻そうとするOracle の試みとして3回目、トランプ大統領の介入も含めれば4回目だった。実のところ2018年4月に募集要項が公開される前にOracleのサフラ・カッツCEOが「これはAmazonを不当に利するプロセスだ」と大統領に訴えている。2018年11月には、政府説明責任局(GAO)がOracleの抗議をすべて却下した。翌月、同社は連邦裁判所で1兆円の訴訟を起こしたが、昨年8月に敗訴した。昨日の判決はその判決に対する控訴に対するものだった。
これらの訴訟は全てAmazon に対する不当な優遇があったと主張するものだったが、実際に契約を得たのは Microsoft だった点は注目に値する。このような結果であっても契約は現在も多数の訴訟に悩まされている。Amazonは「契約を失ったのは大統領の干渉が原因であり、本来この契約はAmazonが得るべきものだった」と主張している。
数々の訴訟も含めて、この巨大契約に関連するドラマは一向に終わりそうもない。
画像:Bloomberg / Getty Images
(原文へ)