広告主は今日からPinterestでの広告の出稿を検討すべきだろう。
Pinterestは広告主向けのいくつかの新しいツールとその料金体系を今日発表した。今回のツールの中で最も目を引くのはPinterestが新しく導入する動画風の広告ピンだ。多くの人が想像しているものとは少し違うだろう。PinterestがCinematic Pin (シネマティックピン)と呼ぶこの広告ピンはアニメーションを再生する。アニメーションはユーザーが画面をスクロールした時だけ再生される。ユーザーがスクロールを止めると再生も止まり、ユーザーがピンをタップした時だけ拡大されて再生する仕組みだ。
つまり、タップすると画面いっぱいまで拡大し、アニメーションを全部見ることができるということだ。下のが一例だ。
これは、他のプラットフォームにおける動画広告とは一線を画す。動画広告はモバイル端末やウェブ上の主要なプラットフォームで広まっている。通常の広告より動画広告の方がユーザーの注目を得やすいからだ。ユーザーから多くのフィードバックを得て、今回の動画広告の手法に辿り着いたと、Pinterestのマネタイズを担当するジェネラルマネージャーのTim Kendallは話した。また、Pinterestは自動再生するタイプの動画広告を掲載することは考えていないとも話した。
「私たちはユーザーと多くの検証を行ってきました」と彼は言った。「自動再生の広告は気が散ってしまうという意見があり、今回の手法はユーザーがコントロールできる良い方法であるとの声が多くありました。そのような反応が強かったので、自動再生の広告は検証を見送りました」。
広告主はPinterestを金鉱であると捉えている。マーケターは、Pinterestを様々な用途で使うユーザー層に魅力を感じている。Pinterestには、インスパイアを受け、アイディアを求めて、画像を眺めるのに使用したり、具体的な何かを探すのにも利用されている。例えば、ユーザーは特定のレシピや洋服を探していることがある。ユーザーがそれらの購入を検討している証でもある。広告ピンは、広告主にそのようなユーザーに対して自社のプロダクトを訴求する機会を提供する。購入したいと考えているユーザーを、広告ピンのクリックから、商品の購入につなげる導線となる。
「ユーザーはPinterestを使用して、将来の計画をしています」と彼は言う。「他のサービスでは得られない独自の情報を私たちは手にしています。他のサービスでもPinterestと類似したオーディエンスを同様の形で提供しているかもしれませんが、Pinterestのオーディエンスに価値があるのは、彼らが将来何をしたいかを理解していることにあります」。
Pinterestは特定のユーザー層に向けたターゲティング広告も提供する予定であるとした。ユーザーが興味を持っている分野や好みを元に広告ピンを表示することができるようになる。例えば、旅行や家のデザインといったように指定できる。以前の広告商品と同様、Pinterestの今回のシネマティックピンとターゲティング広告も、GapやWendy’sといったパートナーと組んでユーザーへの配信を開始する。
Pinterestの新たな広告の料金体系では、マーケターはユーザーの広告ピンへのエンゲージメントの度合いによって料金を支払うようになる。料金は、Repin(リピン)数、クリック数、広告ピンをタップして拡大した数などに基づくようになる。また広告主は、広告ピンで表示しているアプリをユーザーがインストールされた場合のみ、料金を支払う料金体系も用意している。これは、「cost per action(アクション毎のコスト)」と呼ぶ広告ピンで、ユーザーが何かアクションを起こさない場合、例えばアプリのダウンロードがなければ、料金の支払いは発生しない。
Pinterestのエンゲージメント、アクション、クリック数に基づく広告は、今年の夏以降から全ての広告主に提供される予定だ。しかしPinterestは、プラットフォームに掲載される広告を全てレビューする予定でいる。また、ユーザーはそれらの広告に対して直ぐにフィードバックを送ることができる機能も実装するとKendallは言った。
Kendallのこの会社で興味深い役割を担っている。彼は、Pinterestに3年以上在籍しているが、セールス、マーケティング、会社の広告商品のプロダクトとパートナー向けプロダクトの開発を率いている。Pinterestの他のチームのメンバーも同様に、デザイナーとエンジニアと近い立場で働く複数のプロダクトマネージャーや、パートナー企業と接する人と共に仕事をしている。
「PinterestのCEO、Ben Silbermannはプロダクト開発、マーケティングとセールスは協働すべきだと考えています」とKendallは話す。「それらの部署は別々に動いているのが一般的です。広告プロダクトやパートナーソリューションのプロダクトの開発を行っている人たちは、マーケティングとセールスに従事する人とは別のチームであることが多いでしょう。しかし、Benはそれらの機能を一つに集約し、一人のリーダーを据えることで、動きが速くなり、マーケットのニーズに柔軟に対応することができると考えています」。
またPinterestは今回、自社内にクリエイティブを作成するスタジオとなるPin Factoryを開設することも公表した。ブランド企業は、Pinterestに画像と説明の付いたピンの作成を依頼することができるようになり、Pin Factoryがクリエイティブの制作を担う。Pinterestはこれまでもブランド企業が自社のピンのパフォーマンスをトラックできるツールをMarketing Developer Programから提供してきたが、今回新たに設けるツールなどは、彼らが急速に開発を進めていた広告ツールを更に増強するものだ。
「これまでPinterestの広告プロダクトは、ブランド企業を対象としてきましたが、今回のマーケティングツールは、小さい企業から大企業まで、いかなるステージの企業でも使用できるものを彼らは揃えてきました」とeMarketerのプリンシパルアナリストであるDebra Aho Williamsonは言う。「マーケターは、Pinterestに広告プロダクトを充実させることを求めていました。今回Pinterestが提供を発表したものは、彼らの期待に充分応えられるものでしょう」と続けた。
[原文へ]