PTSDになったFacebookのコンテンツモデレーターに補償金総額約56億円が支払われる

Facebookは、仕事が原因で精神疾患になった現在と過去のコンテンツモデレーターに5200万ドル(約56億円)の補償金を支払うことで原則合意した。

The Vergeの米国時間5月12日の記事によると、この和解はこのソーシャルメディアプラットホーム上でコンテンツの調整に関わっていた間に、うつ病や薬物アルコール等依存症などの精神疾患に罹患した1万1000名あまりのコンテンツモデレーターを対象とする。

実は、この調査の契機となったのがThe Vergeだ。同メディアのシリコンバレー担当エディターであるCasey Newton(ケイシー・ニュートン)氏が、Facebookのコンテンツモデレーターはアウトソーシングの大手のCognizantによりフェニックスタンパで雇われ、ヘイトスピーチや殺人、自殺などの凄惨なコンテンツにさらされていると報じた。

Facebookは数千人のコンテンツモデレーターを雇って、大量のポストや画像など同サイトに投稿されるコンテンツをふるいにかけている。ほかのユーザーがルール違反の懸念のあるコンテンツを知らせてきたら、それをコンテンツモデレーターがレビューして採否を決めることが多い。

以前コンテンツモデレーターだったSelena Scola(セレーナ・スコラ)氏によると、彼女は心的外傷後ストレス障害(PTSD)になり、Facebookを訴えて現在と過去のモデレーターのための診断と治療事業のためのファンドを立ち上げるよう求めた。Cognizantは、The Vergeによる調査のあとコンテンツモデレーターの市場から完全に撤退した

予備的和解は、2015年以降のアリゾナ、カリフォルニア、フロリダ、およびテキサスの各州のモデレーターが対象になり、一人当たり少なくとも1000ドルを受け取る。個々の被害補償額としては、最大5万ドル(約536万円)が支払われる。この訴訟を統括しているカリフォルニアの裁判所は、最終結審を今年の終わりごろ行う予定だ。

FacebookのスポークスパーソンはTechCrunchに対し「この重要な仕事を通じてFacebookをみんなにとって安全な環境にしてくれた人々に感謝する。私たちは今回および今後の和解を通じて、彼らにさらなる支援を提供したい」と語った。

あなたまたは誰かが助けを必要としている場合は1-800-273-8255、全米自殺予防支援電話に電話を。あるいは無料のテキストライン741-741、Crisis Text LineにHOMEとテキストを。米国以外では、国際自殺予防協会のデータベースをまず調べよう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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