UXENT(アクセント)は、同社の公式サイト上で動画メッセージを紐付けるギフトカード「moovin」の販売を開始すると発表した。本日から東急プラザ、ロフトなど大手雑貨店でも販売を開始する。UXENTの代表取締役CEOである永冨泰高氏は撮影した写真がすぐ手元で出来上がるカメラで有名なポラロイドにいた人物だ。そんな永冨氏が今回の事業でアナログ要素の強いギフトカードとデジタルな動画体験をつなぐ「moovinカード」を制作するに至った経緯について話を聞いた。
moovinのカードにはQRコードが印刷してあり、それに個別のメッセージ動画を紐付けることができる。使うにはまずカードの送り主は動画編集とQRコードへの紐付けを行うmoovinの専用アプリ(iOS、Androidどちらにも対応している)をダウンロードする必要がある。アプリでQRコードを読み込み、次に動画メッセージを制作する。縦型の動画編集画面で、撮影した動画や写真を追加し、それぞれにフィルターやメッセージを加えて動画メッセージを作る。端末内にある音楽ならBGMとして付けることもできる。完了ボタンを押すと、動画が自動でQRコードと紐づき動画メッセージカードの完成だ。カードを受け取った人はQRコードを読み取れる端末ならどれでも動画メッセージをブラウザで視聴することができる。QRコードはハッキング対策が施された特別なもので、安心して使えることに気を配っていると永冨氏は言う。
カードには「Happy Birthday」や「Thank You」など8種類のテーマがあり、カードのテーマに沿ったオープニング動画がメッセージ動画の前に再生されることがmoovinの特徴だと永冨氏は言う。「心の込もったプレゼントを誰かに渡す時、品物をきれいにラッピングすると思います。moovinのカードも同じようにメッセージをラッピングします」と話す。また、オープニング動画を付けることで、物理的なカードを手で開くアナログな体験と動画を視聴するというデジタルな体験をスムーズにつなぐことができるという。
永冨氏はUXENTを立ち上げる前、倒産に追い込まれたポラロイドの再建に携わった経験を持つ。ポラロイドは物理的な写真で有名な企業だがデジタル化には遅れを取っていた。当時Instagramなどのデジタルな写真共有サービスが台頭するのを身近に感じ、永冨氏はデジタルとアナログ双方の良さを併せ持ったサービスを開発することを考えたという。写真共有アプリを始め、SNSやコミュニケーションアプリといったデジタルなサービスが普及したことで人々はつながることができたが、デジタルのものだけでは想いを伝えきれないのではないかと永冨氏は感じたからだ。本来、人の関係の深さには差があるもので、特別な人に特別な想いを伝えるには形がある物を渡す方法が適しているという想いがmoovinのコンセプトにつながっていると永冨氏は言う。
moovinカードは親しい人の誕生日や結婚式などのお祝いごと、あるいはクリスマスや卒業旅行といった思い出を残したいイベントでの利用を想定しているという。結婚式での席札の代わりにmoovinカードを置いて検証を行った際には、高いエンゲージメントが見られたと永冨氏は言う。YouTubeの平均視聴回数は6回だが、moovinの動画メッセージは平均で10回以上視聴され、結婚式から日数が経過してからも視聴されることが度々あったそうだ。個人の深い関係性に沿ったサービスであるからこそエンゲージメントも高くなると永冨氏は言う。
日本のギフトカード市場は200億円程度でアメリカは8400億円だ。世界では3兆円規模であり、これだけデジタル化が進んだ今でも市場規模はさほど減退していないことから、ギフトカード市場にはまだまだビジネスチャンスがあるだろうと永冨氏は話す。今後は動画編集アプリの機能追加や映画などのコンテンツとライセンス契約を結んで人気キャラクターのカードを用意するなど、サービスを充実させたい考えだ。欧米の方が市場規模は大きいが、まずは日本での普及を目指し、ユーザーフィードバックからプロダクト体験を向上していく予定だと話す。今回販売するカードのテーマは8種類で、価格は1枚450円だ。moovinカードは今日からヴィレッジヴァンガード、SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS、東急ハンズ、PLAZA、Francfranc、RESTIR、ロフトで販売を開始する。また、moovinの公式サイトからオンラインでも購入可能だ。