誰でもネットショップを開けるサービスShopifyが、昨年買収した仮想アシスタントKitを全会員無料にし、その機能を、同社の‘誰もが商店主になれる’サービスの基本部分にした。それまで有料だったサービスが無料になることによって、そのカバー範囲が広がり、またShopifyのユーザーのためにできること…Kitの‘スキル’…も多様化するだろう。
Kitは、Shopify上の商店主たちのための“仮想社員”だ、と言われる。彼(彼女?)はご主人のお店に接続し、Facebookなどいろんなところにいる顧客に対応して、お店の内向きと外向き両方の雑務やマーケティングの管理を取り扱う。この仮想アシスタントにはスキルのライブラリがあり、在庫管理や、Facebook上の広告の動的調整、新しい顧客にメールを送る、ご主人のお店のさまざまな側面について報告をする、などのスキルがすでにある。そしてこれらのコントロールはすべて、Facebook MessengerやTelegram、SMSなどの対話的なインタフェイスから行える。
Shopifyによると、Kitはすでに広く採用されていて、これまでに800%増加した。またFacebookの広告からの来店は、Kitがある場合とない場合で5倍の差がある。無料になったからには、もっと多くのお店に採用してほしい、と同社は願っている。
Kitの協同ファウンダーMichael Perryによると、“ShopifyがKitに目をつけて買収しようとしたとき、われわれの眼前にあった実におもしろい課題は、‘誰かがお店を開くのを助けるのはよいけど、そこの最初の社員を5分以内に確保するにはどうするか?’だった”。彼の言うには、無料にしたのもShopifyの本来のミッションにKitが貢献できるためだ。“これはきわめて、ミッション意識に駆られての意思決定だ。われわれにも、Kitを単独で売り物にする気はまったくない”。
むしろKitが目を向けるのは、スキルのマーケットプレースSkillsで、そこを収益源にしたい。しかしその中心的な機能は無料にして、誰もが使えるようにする。現時点でスキルは20あるが、2018年にはスキルライブラリの拡大が同社の最大の課題の一つになる、とPerryは語った。