Slackでスケジュール管理やリマインドを丸投げできるボット「Subot」——チーム作業の効率化目指す

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Subotは5月30日、コミュニケーションサービス「Slack」上で、リマインドやGoogleカレンダー連携のスケジュール管理が行えるボット「Subot(スーボット)」をローンチした。当初は無料で公開するが、将来的には月額課金制の導入を視野に入れる。

Subotの第1の特徴は、決まった日付・時刻にSlack上でリマインドをかけられる点だ。例えば、特定のチャンネル(Slack上のグループ)に対して毎月25日の午前10時に「経費精算をお願いします」というメッセージを流すといったことができる。

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また他のボットと連携するのもウリだ。SlackにGoogle アナリティクスのデータを投稿すStatsbot」というボットをご存じだろうか。このボットでは、特定のキーワードで話しかけたり、あらかじめ設定しておいたスケジュールに合わせてGoogle アナリティクスの各種統計データを投稿してくれる。StatsbotとSubotのリマインダと組み合わせることで、Statbot単体ではできない、細かなスケジュール設定で統計データを表示することが可能になる。このように他のBotとの組み合わせにより、さまざまな業務を自動化できるとしている。

第2の特徴は、Googleカレンダーと連携したスケジュールアシスタント機能だ。Slack上で簡単なコマンドを入力するだけで、カレンダーに予定を作成できる。また、チームメンバーの予定を一覧表示したり、チームメンバーの空き時間を自動認識し、全員が参加できる最適なスケジュールを提案することもできる。

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Subotを立ち上げた衣川氏は、これまでヤフーで各種ウェブサービス、IoT製品を連携するプラットフォームである「MyThings」のプロダクトマネージャーを務めていた人物。それ以前はミクシィでiPhoneアプリを開発していた。エンジニアの戸高氏は前職がフリーランスのエンジニアで、以前は衣川氏と同じミクシィにいた。2人が在席していた当時のミクシィは大ヒットゲームアプリの「モンスターストライク」が登場する前。頻繁に新規事業創出プログラムが行われており、2人は事業を提案し落選を繰り返すなかで知り合った。その後いったんは別々の道を歩き始めたものの、衣川氏はヤフーに移ってからも新サービスを作りたいという思いが続いたという。そこでミクシィ時代の知り合いである戸高氏に声をかけたところから、Subotの設立に至った。

2人は2015年の春頃から仕事の合間を縫ってアイデア出しをするようになり、プロダクトのローンチと初期のマーケットヒットを目標に2015年秋にシードラウンドで資金調達を完了。2人ともエンジニア出身ということもあり、ファイナンスの知識がなく苦労したという。10月にSubotを設立。2016年2月にSubotの開発を始め、5月にベータ版の提供を開始。そして今回いよいよローンチを迎えた。

Subotの利点について衣川氏は「チーム作業の効率化」を掲げる。スケジューリングやリマインダといった面倒な作業をSubotに任せ、人間はより人間らしい仕事にフォーカスするというコンセプトだ。開発のきっかけには自身の結婚があった。「家庭を持つと家で仕事をしなければならない場面が増えた。業務へのチャットアプリの普及で家での仕事も容易になり、その中にある非効率な部分を減らしたい」(衣川氏)

すでにSubotの競合となるGoogleカレンダー連携のチャットボットは複数あるし、リマインダ機能自体はSlack本体にも組み込まれている。それらと比較した強みについて衣川氏は、Subotのリマインダを使って他のボットにコマンドを送れる点を挙げる。SubotをSlackボットのハブとして活用できるというわけだ。

なお最近はLINEやFacebookがボット向けフレームワークを提供するなど、チャットサービスで使えるボットが増えてきた。衣川氏はそういった動きについて「とりあえず作ってみた的なボットが多い」と語る。「ボットは利用者に近しい存在。そこで体験の悪いものを出すとユーザーは一瞬で消えてしまう。その中で受け入れられ、ビジネスとして生き残っていけるボットを作りたい」(衣川氏)

Subotの対応言語は日本語と英語。海外展開については「海外の展示会に出展するお金はない」(衣川氏)とする一方、Slack App Directoryのボットカテゴリに現在申請中。これはSlackにおけるApp StoreやGoogle Playのようなもので、登録されれば海外にも認知されるチャンスがあるという。

左からSubotを立ち上げた衣川憲治氏、エンジニアの戸高慎一郎氏

左からSubotを立ち上げた衣川憲治氏、エンジニアの戸高慎一郎氏

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TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。