最新のクラウドネイティブエンタープライズアプリケーションが必要とする、すべてのサービスやマイクロサービスに接続するのは複雑な作業かもしれない。それこそが、スタートアップのSolo.io(ソロアイオー)がGloo Mesh Enterprise(グルーメッシュエンタープライズ)プラットフォームの新しいリリースで、破壊的に変革しようとしている分野だ。
マサチューセッツ州ケンブリッジに拠点を置くSoloは、創業以来、サービスメッシュと呼ばれるコンセプトに重点を置いてきた。サービスメッシュは、異なるコンポーネントを自動化された最適なアプローチで接続する。これはしばしばKubernetes(クバネテス)によるクラウドネイティブ環境の中で提供される。
Soloの創業者でCEOであるIdit Levine(イディット・レバイン)氏がTechCrunchに説明したところによれば、2017年に会社を立ち上げた当初から、サービスメッシュのコンセプトとその必要性が市場に理解されるまでには数年かかるかもしれないと考えていたという。そのため彼女の会社は、異なるデータソースやサービスであるAPIを開発者が接続できるようにするAPIゲートウェイ技術も構築してきたのだ。
これまでは、このAPIと、SoloのGloo Mesh Enterpriseのサービスメッシュのコンポーネントは別の技術であり、構成や制御も異なっていた。それが今では、APIとサービスメッシュの両方の機能が統合された、統一されたサービスに変わりつつある。この統合された機能により、Kubernetes上で動作するクラウド上のあらゆるサービスのセットアップと設定が容易になるはずだ。
Gloo Meshという名で知られるSoloのサービスメッシュは、もともとGoogleが作成したオープンソースのIstio (イスティオ)プロジェクトをベースにしている。またAPI製品はGloo Edge(グルーエッジ)と呼ばれ、オープンソースの Envoy(エンボイ)プロジェクトを利用しているが、このプロジェクトはもともとライドシェア企業のLyft(リフト)が作成したものだ。レバイン氏は、現在彼女のチームがIstioのプラグインアーキテクチャを使用して、最適化されたアプローチでEnvoyと接続していると説明している。
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レバイン氏は、多くのユーザーがAPIゲートウェイから始めて、サービスメッシュの利用へと拡大していると指摘する。今回のGloo Mesh Enterpriseのアップデートにより、SoloはサービスメッシュとAPIマネジメントの両市場で、競合他社との差別化を図ることができるようになり、顧客の導入がさらに加速することを期待していいる。
サービスメッシュの分野はまだ始まったばかりだが、たとえばライバルのTetrate(テトレート)はより成熟したAPIゲートウェイ技術を提供している。またAPI管理の分野には、7100万ドル(約78億円)の資金を調達した、Kong(コング)のようなライバルがいる。2016年にGoogleはAPI ベンダーの Apigee(アピジー)を6億2500万ドル(約687億2000万円)で買収し、それ以来数年をかけてその技術の拡張を続けてきた。その中には2021年2月に発表されたApigee X(アピジーエックス)プラットフォームも含まれている。
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API管理のためのGloo EdgeをGloo Mesh Enterpriseに統合したことで、SoloがAPI技術のすべてのベースをカバーできたわけではない。Gloo Edgeは、現在最も一般的なRESTベースのAPIをサポートしているが、最近徐々に存在感を増しているGraphQL(グラフキューエル) API規格には対応していない。レバイン氏は、SoloプラットフォームのためのGraphQLの発表については、これからに「期待していてください」と語った。
Soloはこれまで2回のラウンドなどから合計3650万ドル(約40億1000万円)を調達している。2018年には1100万ドル(約12億円)のシリーズAを、2020年10月には2300万ドル(約25億3000万円)のシリーズBを発表している。RedpointやTrue Venturesなどが同社の投資家として名を連ねている。
画像クレジット:Laurence Mouton/Getty Images
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(文: Sean Michael Kerner、翻訳:sako)