デジタル広告、特に新興市場でのターゲティング分野において組織の統合が進んでいる。Sony Pictures Televisionは、ラテンアメリカ地域でデジタル広告ビジネスを展開するInternet Media Services (IMS)の株式の過半数を買収した。IMSはマイアミに拠点を置き、AppleのiAd、Twitter、Spotify、LinkedIn、Sony Pictures Televisionの動画サイトCrackleの広告販売の独占パートナーとして、これらの企業のラテンアメリカ地域での広告ビジネスを支えてきた。
買収の詳細は開示されなかったが、IMSの51%の株式を1億ドル付近で買収し、既存のマネジメントチームが引き続きIMSを運営していくことが示された。IMSの評価額は2億ドル近い。
「Gastonと彼のチームはデジタル広告の専門家で、ラテンアメリカで素晴らしいビジネスを構築しました」とSony Pictures Televisionの会長Andy Kaplanは声明で伝えた。「このセクターは急激に伸びていて、進化も速いのです。これから一緒にビジネスを成長させていくことを楽しみにしています」。
IMSは10年間このビジネスを行っていて、ラテンアメリカ地域で最大のデジタル広告販売企業であり、最大のデジタルメディアのバイヤーでもあると主張する。年平均成長率は40%であり、16カ国に渡る2100の大手広告主と取引がある。ファウンダーでCEOのGaston TaratutaはTechCrunchに対し、5000ドルで始めたこのビジネスは外部から資金調達を行うこともなく、初年度から利益が出ていたと話す。
Sonyへの売却について彼は「数年」の話し合いの末、「将来に渡り、共に協力する素晴らしい機会」であると判断したことから売却に至ったと言う。
IMSは既存のクライアント企業との取引も続け、基本的にはこれまで通りのサービスを提供する。買収により今後彼らには、2つの可能性が生まれた。1つはSony Pictures Televisionがラテンアメリカで広告ビジネスを構築に注力すること。
2つ目は、既にテレビの広告を購入している、あるいは他のプラットフォームでモバイルやオンライン広告を購入しているIMSとSonyの既存のクライアントに対して、ラテンアメリカ地域向けのクロスプラットフォームの広告サービスを提供することだ。
世界規模に展開するのにこれは重要な一歩となる。Crackleに加え、Sony Pictures Televisionは13カ国にジョイントベンチャーあるいは、自社保有の製作会社が19社ある。彼らの世界規模のテレビネットワークのポートフォリオには178カ国に渡る、150のチャンネルがあり、130億の世帯にリーチできる。
「彼らの実践経験と知能を私たちのラテンアメリカ地域と世界規模のネットワーク、そして広告販売チームと組み合わせることで既存のビジネスを飛躍的に拡張することができるでしょう」とKaplanは言った。
IMSのクライントもこれを支持していると、Taratutaは話した。「私たちのパートナーは全員、これに可能性を感じています」と言った。
IMSの評価額と成長は、アメリカ国内の広告販売が減速する中、新興市場の急成長にアメリカ国外でのビジネスの可能性があることを示唆している。ラテンアメリカ地域についてIMSは、デジタル広告販売は次の5年間で最低でも10%以上の成長が見られると予測している。主に120%の浸透率が見られるモバイル、スマートフォンのプラットフォームで成長が期待できると言う。
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