Falcon 9ブースターの再利用の成功を受けて、イーロン・マスクはSpaceXがさらに大型のFalcon Heavyロケットのテストを実施することを発表した。このフライトでは2段目のロケットを地表に回収することも試みる。Falcon Heavyのブースターだけでなく2段目も再利用できるようにするのが目的だ。地表と宇宙をロケット全体が繰り返し往復できるようにすることは、SpaceXの最終目的である火星植民にとって欠かせないテクノロジーとなるという。
マスクによれば、Falcon Heavyのテストのスケジュールは「この夏の後半」だ。昨年9月、発射台上で点検中のFalcon 9が爆発するという事故により計画に遅れが出ていたが、Falcon Heavyのテスト時期は昨年暮に新たに設定されたスケジュールに沿ったものだ。
SpaceXのFalcon Heavyは商用打ち上げ企業としてまったく新しいビジネスチャンスを開くはずだ。Falcon Heavyのブースター部分は現在のFalcon 9のブースターを3基まとめたもので、Merlinエンジンは27基合計で22,819 kN(2327トン)の推力を発生する。NASAもSLS(Space Launch System)と呼ばれる独自の大型ロケットを開発しており、2018年には最初の打ち上げが行われる予定だ。
ロケットの完全な再利用化を目指す第一歩として、Falcon Heavyの打ち上げテストで2段目の回収実験を考えている。成功確率は低いがやってみる価値があると思う。
Falcon Heavyの低軌道打ち上げの最大ペイロード重量は54トンとされる。これは現在最大級の商用ロケット、ULA〔ロッキード・マーティンとボーイングの宇宙合弁事業〕のDelta IV Heavyの2倍のペイロードだ。ただしペイロードはミッションの内容によって大きく変化する。またロケットを使い捨てにするのではなく、再利用を図るのであればその分の燃料を必要とするためペイロードは減少する。SpaceXでは打ち上げ費用をULAのDeleta Heavyの3分の1にまで減少させることでNASAのSLSを打ち負かす計画だ。
SpaceXはFalcon Heavyに用いられるFalcon 9ブースターの回収に繰り返し成功している。この木曜日には回収したロケットを再利用した打ち上げに最初の成功を収めた。イーロン・マスクにとって次の目標は真空中で運用されるMerlin 1Dエンジンを搭載したFalcon Heavyの2段目を回収することだろう。
先に述べたように、ロケットの完全な再利用はSpaceXの火星プロジェクトの実現に必須となる。地表と軌道上の宇宙船を何度も往復して大量の燃料、資材などを積み込む必要があるからだ。この宇宙船が最終的に火星に向かうことになる。
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)