毎年恒例の国際宇宙会議(IAC、International Astronautical Congress)で行われた、SpaceXに対する一連の簡単なインタビューの中で、SpaceXの社長でCOOのGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏は、まもなく登場するStarship宇宙船のミッションスケジュールに関する同社の現在の考えについて少しばかり明らかにした。Starshipは現在、SpaceXの南テキサスとフロリダの施設で並行して開発されているが、これらはFalcon 9とFalcon Heavyの後継者であると同時に置き換えを意図した多目的ロケットである、搭載重量はより多く月や最終的には火星に到達する能力を有する。
「私たちはStarshipを1年以内に軌道に乗せたいと熱望しています」と、ショットウェル氏は語る。「そして必ず2022年以前に月に着陸したいと考えています。そしてうまくいったなら2024年までに月面着陸する人たちのために必要な資源の運搬を始めたいと考えています。とても野心的なタイムフレームですね」。
まさにそれは大胆なタイムラインであり、ショットウェル氏自身が繰り返し述べているように、「野心的な」タイムラインだ。テック産業同様に、宇宙産業では、プロジェクトで作業しているチームに実際の能力の限界を発揮させるように、積極的なスケジュールを設定することは珍しくない。SpaceXのCEOであるイーロン・マスク氏も、しばしば現実と一致しないタイムラインに取り組むことで知られており、ショットウェル氏はIACでのステージ上のインタビューの別の部分で、マスク氏の野心的な目標設定をいいものだとほのめかした。
「イーロンがこうした信じられないほど大胆な目標を出すと、世間は『そんなことはできっこない、軌道なんかには行けない、軌道に到達できるロケットなんか作れっこない、Heavyが軌道に乗ることなんてない、Dragonがステーションに到達することはない、Dragonが帰還できるはずがない、そしてロケットを再着陸させることなんて不可能だ』と言うのです」と彼女は言った。「だから、率直に言って、私は世間が『できっこない』と言うのを聞くのが大好きです。それは、私の素晴らしい6500人の従業員たちを鼓舞して、そのことをやり遂げる気にさせるからです」。
SpaceXは以前、1年以内という短期間のうちにStarshipによる最初の軌道試験飛行を開始するという目標について公表していた。これまでのところ同社は「Starhopper」という名のデモンストレーション用宇宙船を建造しテストした。これは、宇宙船のベース部に新しいStarship打ち上げシステムとSuper Heavyに使用するRaptorエンジンの1つを組み合わせて構成したものだ。
その機体を使った低空飛行を成功させた後、SpaceXはStarshipテスト機のMk1ならびにMk2の組み立てを始めた。これは、最終的な軌道宇宙船のフルスケール品と同等のもので、それぞれボカチカ(南テキサス)とケープカナベラル(フロリダ)のチームによって建造されている。これらは、SpaceXが軌道用、そして最終的には人間のテスト飛行のために追加のプロトタイプを構築する前に高高度試験を実施する予定だ。
SpaceXはすでに、NASAと連携しているIntuitive Machinesやispaceと契約を結んでいる。両社は2024年のArtemisプログラムによる月面着陸に先行して、月に貨物を運ぶ役割を担っている。とはいえ、これらの貨物輸送ミッションはすべて輸送にFalcon 9を使うことが指定されている。
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(翻訳:sako)