SpacialChatはVR利用のスペーシャル会話がZoomのビデオ通話に取って代われると強気

現在われわれのビデオ通話はZoomのよう長方形のウィンドウの中に閉じ込められている。一方で「こうした束縛から抜け出したい、仮想空間を自由に歩き回りたい」という欲求も強まっている。 そこで通話相手を表示する新しい方法がいくつも試されている 。例えば「仮想バー」はバーの平面図に小さな円で人々のビデオがいくつも表示され、その一つが自分だ。パンデミックによるロックタウンで引きこもっている間m私自身こうした「バーチャル・バー」に参加してみたことがある。それはそれで面白かったが、飲み物は冷蔵庫から取り出した本物のようなわけにはいかない。

このスペイシャル・アプローチの利点はユーザーがアバター操作の範囲大きく広がる点だ。 仮想体験であるとして物理的には遠く離れた目的地の間を自由に飛び回ることができる。自分が分身を自由にコントロールしているという感覚が得られる。

昨年4月にProductHuntでデビューしたSpatialChatはスペイシャル・テクノロジーを利用するスタートアップのパイオニアの一つだ。チャットの新しいデザインと長時間常時接続状態のおかげで人気となり、2020年4月20日のデビュー後、「今日のトップアプリ」の3位を獲得している。スタートアップの創立資金はファウンダー自身がポケットマネーで工面したという。

現在、SpatialChatはバーチャルオフィスや大勢の参加者が一つの場所に集まるタウンホールミーティングなどを運営する組織向けに特別な機能を備えたプランを提供している。3000以上の組織が有料ユーザーとしてサブスクリプションしている。MAU(月間アクティブユーザー)は20万人超えているという。

SpacialChatはホットな分野になり始めた仮想ソーシャルネットワークサービスの一部だ。この分野のプレイヤーにはTeamflowGatherRemoなどがある。 Spacialは当初オンラインでネットワーキングイベントをホスティングするサービスとしてスタートしたが、その後手軽な短時間のスタンドアップミーティングから本格的なオンライン会議などマルチグループをサポートするディスカッション・フォーラムにシフトしてきた。

SpatialChatのテクノロジーはマルチプレイヤーゲームで登場したチームの仲間と会話する「プロキシミティ・チャット 」を利用してビデオチャット化したものだ。通常50人の参加者が「ルーム」内に小さな円のアイコンで示される。サブスクリプションのプランはレギュラー、1週間、1回限り用意されている。ユーザーにはソニー、パナソニック、セガなどの日本のテクノロジー企業に加えてLinkedIn、Salesforce、McKinseyのの社員もいるという。またハーバード、スタンフォード、イェール、マサチューセッツ工科大学を始め、アメリカの108の大学の教職員学生が利用している。

SpatialChatの共同ファウンダー、CEOのlmas Abulkhairov(イマス・アブルカイロフ)氏はこう述べている。

多くの人々はバーチャルオフィスといえばSlack、Zoom、Microsoft Teamsなどを思い浮かべるでしょう。しかし当社のユーザーのほとんどはこうしたアプリはバーチャル・オフィスの実現に適していないと述べています。実際にオフラインで肩を並べて仕事をしているときに得られるような偶然性を含む発見、いわゆるセレンディピティを提供してくれないからです。「Zoom疲れ」という言葉が使われるようになったのには理由があります。われわれはオフラインの体験から得られるものを最高度に仮想化していきたいと考えています。

Data Soulsの最高プロダクト責任者、Konstantin Krasov(コンスタンティン・クラソフ)市は、このプラットフォームのユーザーであり「総勢5万人といわれるデータ・サイエンティストのコミュニティ向けにホストした2日間のイベントには2500人が参加しました。われわれは SpatialChatにより、データサイエンスのトップ・エクスパートによる素晴らしいネットワーキングイベントを開催し、Q&AやAMA(なんでも聞いてください)のセッションを成功させることができました」と述べている。

画像:SpacialChat

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(文:Mike Butcher 翻訳:滑川海彦@Facebook

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TechCrunch Japan

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