Spotifyがテスクトップ用アプリとウェブ版プレイヤーをアップデート

Spotifyは米国時間3月25日、デスクトップ向けのストリーミングサービスを刷新すると発表した。MacおよびWindows用アプリの新バージョンを配信するとともに、ウェブ版プレイヤーをアップデートした。全世界のユーザーに提供される今回の変更では、ナビゲーションの改善に重点が置かれ、プレイリスト、検索、ラジオ、キュー、ライブラリなどの新しいコントロールや機能にアクセスできるようになっている。

今回の刷新により、Spotifyアプリは全体的に、従来のバージョンに比べて、より合理的で整頓されたルック&フィールになった。

画像クレジット:Spotify

特筆すべき変更点は、これまで画面の左上にあった奇妙な検索バーが廃止され、左側にあるすっきりしたナビゲーションバーの「Home」と「Your Library」の間に移動したことだ。

また、この新しいナビゲーションバーでは、これまで「Your Library」下にあった「Made For You(メイド・フォー・ユー)」「Recently Played(最近再生した曲)」「Albums(アルバム)」「Artists(アーティスト)」「Podcasts(ポッドキャスト)」という各項目がなくなった。代わりに新バージョンでこれらを選択するには「Your Library」をクリックして表示させる必要がある。

「Your Library」ページでは、ページ上部に4つのカテゴリーが表示される。まず「Playlists」には「Liked Songs」「Discover Weekly」「Daily Mixes」「Release Radar」などの項目がある。「Playlists」の隣には「Podcast」(今回のアップデートで2番めの位置にランクアップした!)「Artists」「Albums」が並ぶ。

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「Your Library」の新しいドロップダウンメニューでは、各ライブラリを「Most Relevant(最も関連性の高い順)」「Recently Played(最近再生した順)」「Recently Added(最近追加した順)」「Alphabetical (アルファベット順)」、さらには設定可能な「Custom Order(カスタム順)」など、さまざまな方法でソートすることができる。

一方、プレイリストを作るのが好きな人には、今回のアップデートでいくつかの新機能が追加されている。

新しいプレイリストの作成画面(Create Playlist)では、説明文を書き込んだり、カバー画像をアップロードしたり、既存のプレイリストに曲をドラッグ&ドロップで追加できるようになった。上部に埋め込まれた新しい検索バーを使って、新しい曲やポッドキャストのエピソードを探し、プレイリストに追加することもできる。これによって楽曲を見つけてからプレイリストに登録するまでの手順が減り、面倒なプレイリスト作成作業が大幅にスピードアップするはずだ。

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この変更は、特にキュレーターへの対応にSpotifyの関心が高まっていることを物語るものだ。このことは、同社共同創業者でCEOのDaniel Ek(ダニエル・エク)氏が最近、Clubhouse(クラブハウス)のPressClub(プレスクラブ)ショーに出演した際に言及していた。

エク氏は、サービスのコンテンツライブラリが増えるとキュレーターが必要になるため「キュレーターシップに期待している」と説明していた。

「Spotifyのプレイリスターはすばらしいと思いますが、そのプレイリスターとリスナーが相互に関わる機能が限られているように思われます。例えば、プレイリスターが、自分の作成したプレイリストを聴いている人について理解したり、他の人が体験できるコンテンツを見つけるのを手助けすることで間接的にクリエイトする、いわばセカンド・クリエイターを育てるような機能です」と、エク氏は語っていた。

この課題に対処するため、Spotifyはユーザーが(ソーシャルベースでなくとも、自分自身で)より良いキュレーターになれるようなツールを増やしていくという。

「ロードマップで我々が優先的に注力しているのは、例えば、プレイリストに登録した内容に関連するコンテンツを提案するなど、ユーザー自身がより良いキュレーターになれるようにすることです」と、同氏は続けた。

今回のプレイリスト作成ツールの更新は、Spotifyがこの分野でより大きな目標を達成するための然るべき第一歩と言えるだろう。

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その他の変更点としては、リスナーのプロフィールページが刷新され、トップアーティストとトップトラックの両方が表示されるようになったこと、3つのドット(…)メニューから曲やアーティストのラジオセッションを開始できるようになったこと、デスクトップアプリケーションでキューの編集や「最近再生した曲」の表示が可能になったことなどが挙げられる。

プレミアムの有料会員なら、デスクトップアプリケーションのダウンロードボタンを使って、音楽やポッドキャストをダウンロードし、オフラインで聴くことができる。

Spotifyは、今回の変更を発表したブログ記事の中で、サービスの成長にともなうデスクトップアプリの開発が遅れていたことを認めており、今回のアップデートはそれを正すために行われた。

「Spotifyでは、リスナーのみなさまが常に音楽やポッドキャストを発見し楽しんでいただけるように、できる限り最高の体験を提供する方法を常に模索しています。その中には、ルック、フィール、そして機能が含まれます。私たちは絶えず新しい機能のテスト、開発、発表を続け、新しいデバイスに最適化し、提供するコンテンツを拡大していきます」と、このブログ記事には書かれている。「その過程で、私たちはデスクトップアプリケーションの体験が追いついていないと感じていました。そしてそれが変わる時が来たのです」。

アップデートされたMac用とWindows用のアプリ、そしてウェブプレイヤーは、これから順次展開されていく。このアプリの刷新とは別に、Spotifyは同日、新曲のプロモーション用ツール「Marquee(マーキー)」の利用範囲を拡大することも発表した。この機能は「Spotify for Artists」の新しいキャンペーン管理ツールを通じて、米国ではすべてのチームが利用できるようになる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Spotify音楽ストリーミングポッドキャスト

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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