SpotifyもClubhouseに負けじとライブオーディオに参入

SpotifyがライブオーディオのLocker Roomを運営するBetty Labsを買収すると発表したことを受けて、米国時間3月30日朝にSpotifyの株価が若干上がった。Crunchbaseのデータによると、この発表より前にBetty Labsは900万ドル(約9億9000万円)以上を調達していた。

Spotifyは音楽ストリーミング事業が最も有名だが、コアの市場における競争力、そして価格面の支配力を生み出す手段の両方を探しながら新しいオーディオフォーマットに進出してきた。

近年、同社はポッドキャストに多額の資金を投入し、プラットフォーム上で人気番組を独占的に提供してきた。自社のオーディオの世界をできる限り差別化することで、将来的に同社は課金を増やして成長していけるかもしれない。

Spotifyは自社ブログでBetty Labsを買収する目的について「スポーツ、音楽、カルチャーのさまざまなプログラムや、クリエイターがリアルタイムでオーディエンスとつながることのできる多くのインタラクティブ機能」などが今後登場し「これまで以上に幅広いクリエイターとファンに向けてLocker Roomのライブオーディオエクスペリエンスが進化し広がります」と堂々と書いている。

ラジオとClubhouseを融合させたようなものになるのだろうか。TechCrunchはここ数週間でClubhouseや、Clubhouseに似ているTwitterのSpacesについて掲載したが、これと同様に今後わかり次第取り上げていく。

関連記事:Twitterの音声ソーシャルネットワーク機能「Spaces」がClubhouseより先にAndroidで利用可能に

Clubhouseは現在のオーディオブームを盛り上げて、有力な支援者と多くの初期ファンを獲得した。しかしAppAnnieのデータによると最近の数週間ではオーディエンス数の減少が見られ、おそらくSpotifyなどのオーディオ関連企業が参入してClubhouseを脅かす余地はあるだろう。

関連記事:人気の次世代音声SNS「Clubhouse」がクリエイターへの支払い計画を発表、Andreessen Horowitz主導の新ラウンド準備中

Spotifyにはオーディオの新しいカテゴリーに参入して成功してきた歴史がある。3月の初めにTechCrunchで報じたとおり、eMarketerのデータによると「2021年にSpotifyでポッドキャストを聴く米国のリスナーは1カ月2820万人以上、Appleのポッドキャストリスナーは2800万人となり、SpotifyがAppleを初めて上回ると予測されている」。

費用がかかっていることは確かだが、Spotifyはオーディオのあらゆるカテゴリーでトップに立ちたいようだ。Clubhouseの領域に進出しようとしているSpotifyの動きは、この分野のスタートアップにとって心配の種に違いない。

Spotifyはすべてのプラットフォームに対応し巨大なインストールベースを持っているので、展開していく上での優位性がある。この優位性を活かしてオーディオの世界で新しい分野を獲得しようとする取り組みがどうなるかは2021年中にわかるだろう。それまでは、iOSデバイスを持っていれば引き続きClubhouseで楽しめる。

関連記事:2021年中にSpotifyのポッドキャストリスナー数がアップルを上回るとの予測

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Spotify買収Clubhouse音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Alex Wilhelm、翻訳:Kaori Koyama)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。