Stampliaというサービスの提供が始まった。サービスを運営しているのは、フランスのスタートアップであるKiwupだ。サービスの内容は、HTMLメール用のテンプレートマーケットプレイス。メールマガジン、取引上のやり取り、ないしサービス申込みの際にやり取りするメールのテンプレートを作成して、ここで販売することができるわけだ。テンプレート利用者の観点で言えば、いちいち自分でメールをデザインして時間を費やす必要もなくなる。
「事業者の方々は、何を伝えるべきかというのは当然に理解しています。しかしデザイン面については知識がないケースがほとんどです」と、Kiwupの共同ファウンダー兼CEOのVincent Martinetは言う。「Stampliaを利用すれば、不慣れな中で無理やり作った見栄えの悪いデザインと決別することができます。十分な検証も行なっていないテンプレートや、メールプロバイダーの提供する画一的なデザインを利用する必要はなくなるのです。メールによるキャンペーンの利益率を上げることが出来るようになるはずです」。
このサービスには投資家も興味を示しているのだとのこと。Kiwup側がTechCrunchに明かしたところによると、Jeremie BerrebiおよびXavier NielのKima Venturesから13万ドルの出資を受けたのだとのこと。この資金提供をうけて、サービスの一般公開に備えたのだそうだ。
商用メールにおけるデザインの重要性はますます増加しているのは間違いないものと思われる。消費者の許容レベルは確かに上がっているとおもわれるのだ。ニュースレターやキャンペーン通知メールにも高いレベルのデザイン性が求められるようになってきている。「ビジネスプロモーションにおいて、メールをうまく活用することは非常に重要です。そしてデザインを含めた戦略的プランニングが重要となってきているのです」とMartinetは言っている。「ひと目で良し悪しを判断されるようなことも多くなり、読むべきか否かはあっという間に判定されます。デザインが劣悪であると思われてしまうとメールの内容など誰も見てくれなくなってしまうのです。キャンペーンメールを送り始める前に、十分にデザイン面を熟考することが大事なのです」。
Stampliaは、アウトソーシングの流れにものるものだとKiwupは判断しているようだ。コア部分以外の作業をアウトソースするのはビジネス界におけるトレンドとなっている。コアビジネスに注力したい企業と、そしてさまざまなサービスを提供するオンラインマーケットプレイスの結びつきはますます盛んになっていくだろうと考えているそうだ。
デザイナーの側から見てもStampliaには大きなメリットがある。すなわち自身でメールデザインを必要とするクライアントを探してくる必要もないわけだ。また見積書を書いて、請求書を発行し、そして入金を確認するといった手間もいらなくなる。HTMLやPhotoshopで作成したデザインをアップロードし、カテゴリを指定して、検索に利用するメタデータを記述しておくだけだ。価格はテンプレートのタイプやフレキシビリティにより4ドルから15ドルの間で指定することになる。
登録されたテンプレートはすべて、Stamplia側で精査される。さらに、Litmusのサービスを利用して、25種類以上のメールクライアントないしデバイスでどのように表示されるのかのプレビューも作成される。尚、メール作法上スパムと判定されてしまうことがないかどうかについてもチェックが行われる。
デザイナーに支払われるコミッションは売上本数に応じて50%から70%の変動制となっている。尚、StampliaにはAPIも用意されていて、メールプロバイダーその他の事業者は、このAPI経由でメールテンプレートの紹介を行うことができるようになっている。アフィリエイトとしても活用できるようになっているわけだ。
もちろんデザインテンプレートなどを販売している事業者は他にも数多く存在する。しかしメールで利用するテンプレートに特化しているのはStampliaだけであり、それがウリになるのだとMartinetは言っている。売買関連でやり取りするメールや、ウェルカムメッセージ、サービスアップデート、請求書や領収書など、企業で利用するさまざまなシーンに応じたテンプレートを取り揃えていきたい考えだ。
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(翻訳:Maeda, H)