先週はFacebookのOculus VR買収、Googleのクラウド・サービス大幅値下げ、MicrosftのOfficeのiPadサポートと大きな出来事が続いた。またMt.Goxの破綻の原因についてさらに謎が深まった。これらの話題を中心に振り返ってみる。
Oculus VR買収
速報:Facebookが話題のVRヘッドセットRiftのメーカー、Oculusを20億ドルで買収
Oculus買収の動機を探る―Facebookが買ったのは来るべきバーチャル世界だ
Facebookはモバイルゲームで敗北した。だから自前のバーチャルリアリティーを持つためにOculusを買った。ゲームだけではない
Facebook’s Oculus Buy Signals A Hardware Land Grab, And Company Fit Isn’tA Concern FacebookのOculus買収はハードウェア戦争の陣地取り―当面のFacebookビジネスとは無関係(未訳)
この週の最大の衝撃はなんといってもマーク・ザッカーバーグがOculus VRを20億ドルという巨額で買収したことだった。Oculusは人気沸騰のバーチャルリアリィティー・ヘッドセットOculus Riftを開発したハードウェアスタートアップ。Kickstarterのプロジェクトとして2012年8月にスタートしてわずか1年半というシリコンバレーとしても記録破りのスピード・エグジットとなった。
TechCrunchではさっそくザッカーバーグの買収の動機を分析。短期的なビジネスプランは眼中になく、モバイル革命に匹敵する次のハードウェア革命に備えた長期戦を見据えたいわば「陣取り合戦の開始」だというのがその結論。
日本メーカーはソニーがPS4対応の没入型VRヘッドセット、モーフィアスを開発しているものの、10億人のプラットフォームであるFacebook陣営に入ったOculusに対しては苦戦を強いられることになりそうだ。個人的にはソニーこそOculusを買収して一挙に次世代ハードウェアのリーダーを目指すべきではなかったかという印象が強い。
Googleがクラウドで劇的値下げ攻勢
Google、クラウド・プラットフォームで全面攻勢―大幅値下げ、新サービスをローンチ
Googleのクラウド・コンピューティングとクラウド・ストレージの新料金表
Googleのリアルタイムビッグデータ分析サービスBigQueryが大幅値下げと能力アップ
Google App EngineのユーザにIaaS的な自由度を与える新フレームワークManaged Virtual Machines
Googleに負けじとAmazonがS3, EC2, ElastiCache, Elastic MapReduce, RDSを大幅値下げ
クラウドサービス事業で大きく先行するAmazonに対してGoogleがいよいよ本気の戦いを挑み始めた。3月中旬にGoogle Drive、激値下げ―1TBが月額49.9ドルからなんと月額9.99ドルというクラウド・ストレージの価格破壊を行ったのにつづいて、クラウド・コンピューティングでも値下げ攻勢をかけてきた。
さらに、だれでも手軽にテラバイト級のビッグデータの分析ができるBigQueryやApp Engineの使い勝手を高めるバーチャル・マシンなど新たなサービスもリリースされた。当然Amazonも大幅値下げでこれに対抗した。ユーザーにとっては朗報だが、Google、Amazon以外のクラウド・サービス・ベンダーにとっては深刻な打撃だ。中小ベンダーからはそろそろ脱落者が出るかもしれない。
Microsoftが無料のiPad版Officeをリリース
Microsoft、iPad版Officeを発表―マルチプラットフォームに舵を切る
Microsoft、iPhone版とAndroid版のOfficeを無料に
iPad版Officeヒット中:米国チャートでWordが1位、Excelが3位、PowerPointが4位を占める
Microsoftはサトヤ・ナデラ新CEOが登場してiPad版Officeのお披露目イベントを開催した。ビューワとして利用するのは無料だが、編集機能を利用するには有料のクラウド版Office365を契約しなければならない。
これは単にOfficeでiPadが使えるようになったというだけではなく、ナデラCEOもはっきり述べたように、MicrosoftがWindows事業を絶対の聖域とせず、クラウド化とマルチプラットフォーム化に大きく舵を切ったことを意味する。巨艦の方向転換には少なくとも数年かかるだろうが、その影響は絶大だ。
日本でのiPad Offcieのサポートは今年後半になるもようだが、いち早く林信行氏が日本語環境をテストしている。「Office for iPad」がついに登場――林信行のファーストインプレッション〔ITMedia〕
AmazonテレビとAndroidテレビ
Amazon’s Set Top Box Will Be A Dongle Like Chromecast, Could Feature OnLive-Style Streaming(AmazonテレビはChromecastのようなドングルと判明:未訳)
Amazonが準備中の居間のテレビ向けゲーム/コンテンツ・ストリーミング用デバイスはどうやらChromecast式のドングルになるようだ。リンク先記事の写真はChromecastを加工したイメージで、実際のデザインや機能は不明。
Philips Introduces Android-Powered 4K TVs Coming Later This Year(PhilipsはAndroid内蔵の4Kテレビを年内発売へ:未訳)
一方、フィリップスは4KテレビにAndroidを搭載する。Google PlayストアのアプリやYouTube動画、その他Googleサービスが居間で楽しめる。4Kテレビの高精細度体験は圧倒的だが、コンテンツ不足が課題といわれていた。スマートフォンで馴染んだAndroidのUIを通じてインターネットから多様なコンテンツが得られるなら4Kテレビ普及のハードルは大きく下がるかもしれない。日本メーカーも4Kテレビ事業では大胆にインターネット対応を図る必要があるだろう。
Mt. Gox破綻の謎更に深まる
Mt.Goxから「取引展性攻撃」で盗まれたBitcoinは74万ユニット中たった386ユニットだった
謎また謎のMt. Gox破綻。ハッカーにサーバを乗っ取られて秘密鍵を盗まれた、部内者による横領、投機的自己勘定取引の失敗など諸説飛び交っている。
IgCrunch Japan賞は食べ物絞り出し3Dプリンタに
Foodini Is A 3D Printer That Lets You Print Dishes With Fresh Ingredients Foodiniは食べ物を絞り出す3Dプリンタ(未訳)
大真面目なバカバカしい研究にノーベル賞のパロディーのIgNobel賞が贈られるが、それにならって大真面目でばかばかしいテクノロジー・プロダクトに賞を出してもいいかもしれない。
第1回の候補はこのFoodini3Dプリンタ。何をするのかとおもいきや、フードプロセッサーでどろどろにに潰した食べ物を皿に絞り出すというしろもの。暇があればリンク先のビデオを見てお笑いいただきたい。Kickstarterで999ドルだという。元記事コメントで誰かが「絞り出し袋と口金買え!」と忠告していたが、こういう斜め上のプロジェクにまで人材が大勢集まるというのが驚き。