TechCrunch Disruptは3000人以上が参加するお祭り

もうiPhone 6にするか6 Plusにするか決めた? 今朝のタイムラインはアップルの新iPhone 6発表のニュースで埋め尽くされていると思うけど、実はぼくらTechCrunch Japanチームの西村賢と増田覚は今、サンフランシスコに来てはいるのだけど、アップルのイベントではなくTechCrunch Disrupt SF 2014に参加している。イベント関連の記事は本家で大量に出ているし、一部は日本語版でも翻訳して掲載しているが、TechCrunch Disruptについて全体像を改めてお伝えしたい。

TechCrunch Disruptは1年に2度、サンフランシスコとニューヨークで行うスタートアップや勢いのあるテック系企業のためのイベントだ。最近、特にヨーロッパでスタートアップ都市が興隆してきているので、ロンドンでも行っているほか、姉妹イベントとしてTechCrunch International City Eventsというものが東京(TechCrunch Tokyo 2014は11月です!)や、北京、ベルリン、バンガロール、ローマなどで開催実績がある。

年2度のDisruptでは、特にサンフランシスコのものは大きくて、ここ数年は会期3日間で3000人以上が参加するお祭りとなっている。朝、テレビをつけると地元ニュース番組でアップルのiPhone発表を待ちかねて店舗で行列する人々と同じくらいの扱いで、TechCrunch Disrupt SFについても触れられるくらい盛況となっている。街はずれや埠頭の倉庫を借りきって、1度に1000人以上が入れるセッションホールと展示スペースを用意した会場で、朝から晩までトークセッションやスタートアップのバトルをやる感じだ。今年はAT&Tの野球場の隣にあるPier 48というところで開催している。

チケット代は約3000ドル(約30万円)、早割でも2000ドル(約20万円)とお高め。これだけ聞くと駆け出しのスタートアップや若い人が排除されそうに思えるかもしれないが、ハッカソン参加や創業2年未満の売り出し中のスタートアップはブース出展という形で比較的安く参加している。今年のハッカソンには130チームが参加している。去年は参加チームが多すぎて少し数を抑えたそうだが、それでも結構な規模だ。

「スタートアップアレイ」と名付けられた展示スペースは、50mプールが4つぐらい入りそうに広大で、今年の例でいえばハードウェア関連の約50社を含む全229社がプロダクトを展示して来場者とコミュニケーションしている。自社で参加する以外にも最近はパビリオンという形で国・地域別のブース出展が増えている。今年はジャパン・パビリオンもあって9社ほど日本のスタートアップが展示している。日本からはChatWorkさんが出展していた(正確には社長はすでに米国にいるので「日本から」とは違うが)ほか、プライムアゲインが動画版Snapchatとして、実は日本国内ではすでにSnapchatよりもランキングが上になることもあるという「winker」をデモしていた。パビリオンは、アラブ圏、ブラジル、アルゼンチン、北欧、アイルランド、アラビア、中国、韓国とあって、約100社のスタートアップがパビリオンで展示している。中国からは文字盤の上に透明な液晶を重ねたスマートウォッチのプロトタイプなんていうのをガンガン売込みをしてたりして、ガッツのあるやつらが集まってるなという印象だ。

個人的にはDisruptの見どころの1つは、TechCrunch創業者のマイケル・アーリントンやTechCrunchスタッフがステージ上で大物ゲストにずかずか遠慮なく聞きづらそうな質問をぶつける「ファイアーサイドチャット」だと思っている。去年はFacebookのザッカーバーグやYahooのマリッサ・マイヤー、Salesforce.comのマーク・ベニオフに話を聞いていて、マーク・ベニオフが恩師ジョブズとの思い出話を語ったり(たとえば、App Storeという名称はジョブズに言われてベニオフが考えたそうだ)していた。今年のトップバッターだったUber創業者のトラビス・カラニックに対しては、最近メディアからバッシングされていることを受けて「自分のことをダース・ベーダーだと思うか、それともスカイウォーカーだと思うか?」などとアーリントンは聞いていた。

2014年のスピーカーとしては、Uberのほか、Airbnbのブライアン・チェスキー、Medium(元Twitter)のエバン・ウィリアムズ、Boxのアーロン・レビー、Pathのデイブ・モリン、Product Huntのライアン・フーバーなどがいる。みんな創業者や連続起業家で大きなインパクトを与えつつある人たちだ。

今年のスタートアップ・バトルフィールド(ちなみに日本のTechCrunch Tokyoではバトルと短く呼んでいる)には、約800社の申し込みがあった。このうち28チームが2日間に渡ってピッチコンテストを行い、最終日のファイナルに駒を進めることになる。以前ぼくも日本でインタビューしたFOVEが登壇予定だったりするのだが、実はこれは情報が出たのは日本語だからという例外措置。未発表のプロダクトではないとDisruptのバトルフィールドへ登壇するのは難しい。

さて、まだFOVEのピッチはこれからだ。決勝に残るかどうか分からないが、いずれにしてもTechCrunch Japanでは最終日の決勝戦の様子をお伝えするのでお楽しみに。


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。