裁判所への提出文書によると、合衆国政府は、トランプ政権によるTikTokの禁止を阻止する裁定に控訴している。12月7日に、合衆国地方裁判所判事Carl Nichols氏はワシントンで、国の安全への脅威としてTikTokアプリの米国のアプリストアからのダウンロードを停止しようとする商務省の試みを阻止する、二人目の米国判事になった。
トランプ政権は、このビデオ共有アプリに対し、親会社がByteDanceであることによる中国所有と、TikTokの米国ユーザーのデータに中国政府がアクセスしている可能性により、懸念を唱えていた。この懸念が最終的に行き着いたところは、大統領令でTikTokを合衆国市場から締め出そうとするトランプ大統領の決定だった。
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対してTikTokは、法廷で大統領令と戦うと言明し、またそれと同時に、大統領令が認められた場合に備えて、米国事業を米企業に売る交渉に入った。
しかしながら、この件に関する12月7日の裁定の前にTikTokのクリエイターたちのグループが禁令との戦いに勝ち、そのときはペンシルベニアの合衆国判事Wendy Beetlestone氏が、TikTokの米国での操業を不可能にする大統領による制限を阻止する、差し止め命令を発行した。クリエイターたちは、大統領の禁令により、ブランドのスポンサーシップなど、このプラットホームが提供している収入機会を失う、と訴えた。
その禁令に続いてTikTokが起こした別の裁判でNichols判事は、トランプはアプリを合衆国から締め出そうとすることによって権力を濫用し、その行為は「恣意的で気まぐれである」と裁定した。
合衆国商務省のスポークスパーソンはこの裁定のとき、差し止め命令には従うが、「大統領令とその商務長官による実装を法のチャレンジから護る」、と言った。そして今日、控訴によってその言い分を実践した。ただし、合衆国がTik Tokの禁止努力を今後も続けるか否かは、次のバイデン政権の姿勢にかかっている。
今日の裁判所提出文書のニュースを最初に報じたのは、ロイターだ。TikTokは、控訴に対するコメントを拒否した。
商務省スポークスパーソンの声明は、次のとおりだ(12/28/20, 1:14 PM ET):
2020年12月7日にコロンビア特別区の合衆国地方裁判所は、大統領令(E.O.)13942の実行に対する全国的な仮差し止めを認めた。その大統領令は、商務長官が認めているTikTok/ByteDanceの禁じられたトランザクションに限定されている命令である。裁判所のこの裁定は2020年10月30日のペンシルベニア東部地区の合衆国地方裁判所による全国的仮差し止めと整合している。当省は、大統領令が完全に合法的で、国のセキュリティに関する正当な全国的関心を喚起することを、支持している。政府は差し止め命令には今後も従う所存であり、ただちのそのための行動を取っている。しかし同時に大統領令と、その商務長官による実装を法のチャレンジから積極的に護るつもりである。
【控訴状全文】
合衆国政府がTikTokの差し止めに対して控訴, TechCrunchより Scribd上に
画像クレジット: SOPA Images/Getty Images