Twilioが顧客データのSegmentを3200億〜4200億円で買収へ

情報筋がTechCrunchに語ったところによると、Twilio(トゥイリオ)は顧客データスタートアップのSegment(セグメント)を30〜40億ドル(約3200億〜4200億円)で買収する意向だ。Forbesが10月9日にこのニュースを報じ、買収額は32億ドル(約3400億円)と伝えた。

TechCrunchは複数の業界筋から、このディールが進行中で早ければ10月12日にも発表されるとの情報を得た。

TwilioとSegmentはいずれもAPI企業だ。つまりデベロッパーが膨大な量のコードを書かなくても特定の種の機能を利用できるようにする簡単な方法を両社は開発している。筆者が2017年にSegmentについての記事で書いたように、同社はさまざまなソースからの顧客データをまとめるための一連のAPIを提供している。

SegmentはCRMツールや顧客サービスアプリ、ウェブサイトといったさまざまなソースから顧客に関するデータを集め、1カ所で閲覧できるようにする一連のAPIを提供していることで知られている。これは顧客情報の事業を展開するあらゆる企業が目指しているところだ。

2008年の創業以来、Twilioは主にコミュニケーション機能をアプリに簡単に埋め込めるようにすることに注力してきたが、その一方で2018年3月、顧客サービスAPIのFlexをリリースしたときに方向性の変更を示していた。そして同年後半に同社は電子メールマーケティングAPI企業SendGrid(センドグリッド)を20億ドル(約2100億円)で買収した。

Twilioの時価総額は10月9日時点で450億ドル(約4兆8000億円)とかなりのものだった。同社が基幹のAPI、特にFlexにSegmentの顧客データを統合し、またカスタマイズされた電子メールや広告をSendGridと作成するためにいかに潤沢な資金を持っているか想像できるだろう。

今回の買収でTwilioはコミュニケーション対応という従来の主要サービスを超えて事業を拡大することができるかもしれず、これには50億ドル(約5300億円)かかるかもしれない。複数のチャンネルを使って顧客を理解したり顧客とコミュニケーションをとったりする方法を模索する企業が増える中で、大きなビジネスに発展する可能性を秘めている良いディールだ。

アーリーステージVC企業HaystackのSemil Shah(セミル・シャー)氏は「Segmentが顧客データを集めるのに異なる方法を活用していることにTwilioが賢くも目をつけて買収しようとしている」と10月10日付の社のブログに書いた。

従来のCRMが企業にとってきちんとパイプを管理するほど強固なものではない、というのがSegmentの考えだった。より統一された体験を提供するためにSegmentは顧客データインフラに参入した。いま、Twilioの下でSegmentは主要なインテグレーションを引き続き構築できる。こうしたインテグレーションは世界のFortune 500企業ですでに使用されている。

Crunchbaseのデータによると、Segmentは2011年に創業され、これまでに2億8300万ドル(約300億円)を調達した。直近では4月に15億ドル(約1590億円)のバリュエーションで1億7500万ドル(約185億円)を調達した(CrunchBase記事)。

Twilioの株価は10月9日、2.39%アップの1株あたり306.24ドル(約3万2000円)でひけた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Twilio、Segmen

画像クレジット: Twilio

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(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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