Jack DorseyがTwitterに帰還した。彼がプラットフォームの価値をさらに多くの人に届けることを期待している。彼らは一回もツイートをしないかもしれないし、誰もフォローしないかもしれない。しかし、1つや2つ気になるMomentsはあるかもしれない。あるいは、それは数百万のMomentsになるかもしれない。
Twitterは グロースを加速しなければならないという話を聞いたことがあるだろうか。彼らはどうやってそれを達成できるのだろうか?問題を指摘するのは簡単だが、ソリューションを考えるのは簡単なことではない。今日、Twitterは「Moments(モーメント)」という機能をローンチした。これが彼らの考えたソリューションだ。アメリカでは、iOSとAndroidのアプリに新しいタブの形式で搭載し、ウェブ版からも利用できる。
他の全員に向けたTwitter ⚡️
Twitterのハードコアなユーザーは、タイムラインに価値を感じているだろう。タイムラインではツイートが投稿順に並んでいる。誰かがツイートをシェアした場合、それはリツイートとしてユーザーのタイムラインの一番上に表示される。しかし、全てを見逃さないためには、Twitterを習慣的にチェックしなければならない。アプリをずっと開いていたり、一日にTwitterを何回もチェックする必要がある。例えばニュースで話題になっている話を追っていきたい場合、さらに難易度は増す。しかし、長いことサービスを使用しているユーザーは、毎日見ているので、それが自然にできている。
新しい玄関ではありますが、新しい家ではありません
一般の人はアプリにそれほど時間をかけたいとは思わない。Twitterはそこで終わりだ。そのためグロースが必要で、Momentsが重要なのだ。
以前、 多くの人はTwitterのプラットフォームではない媒体からツイートを消費していると記した。CNNでトランプ大統領候補がツイートしたことを確認できるし、ESPNでヤンキースの公式戦シーズン後の試合結果を確認することができる。人やアルゴリズムがキューレートして、ろ過されたツイートの価値は明白だ。ツイートから余分なノイズを排除し、何故面白いかを伝え、状況を伝えているからだ。Momentsも混沌としたツイートから起きていることの文脈を伝えるために誕生した。
Project Lightning Glacier ⚡️
このプロジェクトの内部の通名は「Lightning」で、最適なツイートを素早く効率的に集めることを表した名前だ。個人的には「Glacier(氷河のようにゆったり動くの意)」が適切だと思う。何故なら、ツイートの流れる速度を落とし、ユーザーが周囲を見渡すことを可能にすることで、数千のことが同時に起きているストレスのある状況を軽減しているからだ。Momentsが登場しても、Twitterが数ヶ月前から 検証している「ニュース」のタブの立場が悪くなることはないだろう。
ウェブ版のページからMomentsの雷マークはすぐに見つけられるだろう。
モバイルはこのような感じだ。
モバイルの雷アイコンをタップすると、下のような画面が現れる。
Twitterのトレンドリストを見たことがあるだろうか?あまりに多くて圧倒されるだろう。これはどういう意味なのだろうか、このハッシュタグは何のために使うものだろうかと考えなければならない。
iOSとAndroidのMomentsは、Twitterの不必要なツイートを排除する。キレイにまとまったコンテンツを楽しくスクロールしながら見ることができる。上下ではなく、左右に動く。多くの人が最初につまづく、インタラクションの動作も少なくて済む。ほとんど無いと言っていい。個別のアカウントをフォローしなくても良いのだ。気になるMomentsがあるならフォローすることができる。
Momentsをフォローすると、イベントが始まったら通知が届き、そのイベントに該当するツイートがユーザーのタイムラインに登場する。つまり、NHLのチームをフォローするのではなくNHLの試合をフォローするのだ。同じコンテンツを得ることができる。Momentsはシェアすることもでき、イベントにそぐわないツイートは一つも現れないだろう。ごちゃごちゃとした分かりづらい部分が全体的に減ったのだ。
Twitterが現在の状況を予測できたのなら、もっと早くこの機能を実装していたことだろう。ユーザーデータ、フィードバック、個人の体験を元に機能の実装がこの段階でようやく実現した。
個人的にMomentsで最も良いと思うところは、Momentsで話題になっているトピックの最新情報を把握できたか確認できることだ。Momentsに更新があった場合、追加された分を確認できる。Yahoo News Digest(開示情報:筆者は以前Yahooで少しだけ働いていたことがある)の機能と少し似ていて、それがYahoo News Digestアプリのお気に入りの機能だった。全部読み終えたことが分かるため、何かを達成したような気分になる。
Momentsは、ツイート、動画、Vine、GIFを表示する。余分なものは無く、洗練されている。スーパーツイート時代の始まりだ。Periscopeのストリーム配信がないことに気がついたが、近いうちに対応することになるのは間違いないだろう。また「全文表示」機能が搭載されるなら、Momentsのポップアップから見れるようになるだろう。Facebookのインスタント記事のようにだ。
私がTwitterを気に入ったのは、プラットフォームで見つけた話をつなぎ合わせるのが好きだったからだ。そういうことが好きなのでジャーナリストになったのだと思う。Momentsのプロダクトマネージャーを務めるMadhu MuthukumarはTwitterで私と似たような仕事を担う人たちを数名採用したが、まだ完全なニュース編集部ではないという。この機能はTwitterを1回か2回試したが、何らかの理由でTwitterに定着しなかった人たち向けだとMuthukumarは説明する。また、チームがプロダクトを製作するのに辺り指標とした話があるという。
オーディエンスを理解しなければなりません。私たちのデザイナーのフィアンセはPatriotsの大ファンだと言いました。彼は日曜日の観戦チケットを購入するし、Twitter上にある全てのPatriotsに関連する良い情報が欲しいと言います。Patriotsのファンなら誰もが同じことを考えています。私たちは「彼が体験していることを叶えて全員に提供するにはどうすべきか」を考えるようになりました。
その体験こそがMomentsだ。
まず始めに、TwitterはBleacher Report、BuzzFeed、Entertainment Weekly、Fox News、Getty Images、Mashable、MLB、NASA、New York Times、Vogue、Washington Postとパートナーシップを提携し、Momentsのローンチに向けてコンテンツを製作している。彼らは品質の高いコンテンツを提供する主要なメディアだ。
また、これはお金を生みそうなビジネスであることも忘れてはいけない。新しく着任したCOOのAdam Bainは、スポンサー版のMomentsを販売することで成功を収めることができそうだ。
Twitterは助かるのか? ⚡️
それはまだ分からない。Momentsは確かに良い機能だが、これで全てが解決したわけではない。Twitterは随分と昔にTwitterを離れたユーザーを取り戻すために、大変な努力をしなければならないだろう。
Muthukumarは、「新しい玄関ではありますが、新しい家ではありません」と言う。
再出発をするには良い場所だろう。しかし、もしTwitterがニュースのコンテンツを素早く提供できなかったり、彼らのパートナー企業が誤った情報を流したり、政治ネタばかりでつまらないなど分野が偏ったりした場合、この機能は企業にダメージを及ぼすことになるかもしれない。新しい玄関口はユーザーを呼びこむ場所ではあるが、悪い第一印象を受けたユーザーはもう二度とこの家に寄り付かなくなるだろう。
悪い第一印象の話で思い出したが、ウェブ版のMomentsはごちゃごちゃしている。チームは視覚的に訴求するコンテンツの表示方法を試したのだろうが、モバイル版のスムーズな左右のスクロールに匹敵するものではない。
確かに、ほとんどのユーザーはモバイル端末からMomentsを見るのだろうが、全ての「扉」が同じように良いものであることは重要な要素だろう。もし、Twitterに何年ぶりかに戻ってきて、上記のような分かりづらい画面だったらどうだろうか?ここに用はなく、二度と戻らないと思うだろう。基本的に3つのツイートが一つに合わさっているデザインなのだが、一貫性がないように映る分かりづらいものだ。さらに、ユーザーはクリックといったアクションを起こさないと続きを見ることができない。モバイルでは全てを見ることができる。
とは言うものも、ウェブ版でも注目に値することが部分もある。例えば、表示画像のいくつかは動く部分とかだ。
これからどうなる? ⚡️
Jack Dorseyは自分が製作したプロダクトのCEOに復帰した。彼はProject Lightningの発足時から関与していたという。彼のリーダーとして実績とTwitterがこれまで知られてきたような成長率を保てるかがかかっている。全員が勝利を求めている。
最終的に、Twitterは自社のプラットフォームでツイートを消費するユーザーが必要なのだ。エンゲージメントは今は置いておこう。この新しいTwitterはFacebookが打っているようなテレビコマーシャルを打つのにふさわしい時期にあると思う。Facebookはサービスに人間らしい温かみを与えている。Twitterにもそれが必要だろう。
私は、Momentsを知らない人に説明する際に、サービスのことを全部説明しなくても通じるように感じた。Twitterの社員に対しても同じことが言える。ユーザーはMomentsという「最終プロダクト」を見る。そして、その瞬間に彼らがこれを製作している人たちであると理解するのだ。チームが事故の現場などからレポーター、ニュースエージェンシー、写真家として仕事をしているということが分かるのだ。
Snapchat Storiesのコンセプトに似ているし、 Yahoo News DigestやCircaに通じる要素もある。それでも良いだろう。それはTwitterがここ数年、特にモバイルでのコンテンツの消費行動を注視してきたことを意味している。そこに次の3億1600万人の世界のユーザー(実際のプロダクトを利用するユーザーが)がいるのだ。
[原文へ]