Twitterがインド当局のさらなる警告を受け500以上のアカウントを停止

Twitter(ツイッター)はインド時間2月10日、インド政府が同社の幹部に対して法的措置を取ると警告したのを受け、インド当局からの「いくつかの」命令に従うために、同国内で500以上のアカウントに停止措置を講じ、いくつかのハッシュタグの視認性を低下させたと述べた。

関連記事:インド当局がTwitterによる同国農民の抗議運動に関するツイートのブロック解除に警告

Twitterは先週初め、インド政府の要請により、農業改革に関する農民の抗議活動へのリンクを含む数百のアカウントを停止していたが、その後、ユーザーの言論の自由を理由に数時間以内にその決定を取り消した。同社は2月10日に、それらのアカウントの大部分を再び停止したと述べ、そのうちいくつかのケースは恒久的に凍結するとともに、特定の表現が「トレンド」セクションに掲載されることを防ぐと公表した。

関連記事:Twitterがインド政府からの「法的要求」を受け、同地の著名人アカウントを停止

同社は、それらのTwitterのアカウントはインド国内でのみブロックされていると述べ、同国政府による指示が国内法と矛盾していると考えているため、同国の外では表示されたままになるとしている。また停止されたアカウントの中に、ニュースメディア団体、ジャーナリスト、活動家や政治家に属するアカウントは含まれていないとも述べた。「そうすることは、インドの法律の下での表現の自由に対する基本的権利を侵害することになると考えています。当社は本日、MeitY(Ministry of Electronics and Information Technology、電子情報技術省)に我々の執行措置を通知しました」と同社は述べている。

同社はブログでこう書いている。「過去10日間にわたり、Twitterはインド政府電子情報技術省から情報技術法第69A条に基づき、複数のブロック命令を受けました」。

「このうち2つは緊急のブロッキング命令で、当社は一時的にこれに応じましたが、その後、インドの法律に合致すると思われる方法でコンテンツへのアクセスを回復しました。このことをMeitYに伝えた後、コンプライアンス違反の通知を受けました」と、サンフランシスコに本社を置く同社はつけ加えている。

インドでは何百万人もの農民が2カ月以上、ニューデリーの新法に抗議してきた。同社のアプリを通じて7500万人以上のユーザーにリーチしているTwitterは、この問題について意見を述べようとする人々にとって、最も重要なオンラインフォーラムの1つとして浮上している。

インドの俳優や政治家よりも多くのフォロワーを持つ歌手Rihanna(リアーナ)は先週、抗議行動を伝えるCNNのニュース記事を投稿し、「なぜ私たちはこのことについて話していないの!?」と質問を投げかけた。インド政府は、新法は農業のサプライチェーンを合理化することで農家や消費者を助けることを目的としていると主張している。同政府はまた、2021年1月、首都周辺の抗議行動の近くでインターネットサービスを一時的に停止した。

ニューデリーの農業改革を指したハッシュタグ「#modiplanningfarmersgenocide」(モディは農民大虐殺を計画中)を使ってツイートしたユーザーも多くいた。同社は、いくつかのアカウントやハッシュタグが、暴力の扇動、乱用、危害の希望とオフラインでの危害のリスクを誘発する可能性のある脅迫に関するTwitterのルールに違反していたと述べた。

TechCrunchの取材に対しTwitterの広報担当者は、単に農民や彼らの抗議を支持しているだけのハッシュタグは制限されていないと語った。

2021年2月初めにTwitterへ出した通知の1つで、インド政府は多くのユーザーが虚偽の威圧的な発言や挑発的なメッセージを共有していることへの懸念を表明していた。先週、同社が命令を遵守していた短い期間中、Twitterは著名人のアカウントをいくつか停止した。その中には、調査報道を行うニュース誌のCaravan(キャラバン)、政治評論家のSanjukta Basu(サンジュクタ・バス)氏、活動家のHansraj Meena(ハンスライ・ミーナ)氏、俳優のSushant Singh(スシャント・シン)氏、公共放送局Prasar Bharti(プラサール・バラティ)の最高経営責任者Shashi Shekhar Vempati(シャシ・シェカール・ヴェンパティ)氏、そして少なくとも2人のアーム・アードミ党の政治家、Preeti Sharma Menon(プレティ・シャルマ・メノン)氏とJarnail Singh(ジャルナイル・シン)氏などが含まれていた。同党は、デリーの首都特別地域を統治している。

Twitterがそのブロックを解除した後、インド政府は、同国の第69A条を引用して、Twitterとその幹部に対してより深刻な警告を発した。同法により、「7年まで延長することができる期間の懲役刑と罰金を科すことができる」というものだ。インド政府は、Twitterはインドで「裁判所の役割を担い、コンプライアンス違反を正当化することはできない」と述べた。

「当社は、我々がサービスを提供する人々を代表して表現の自由の権利を主張し続けるとともに、Twitterと影響を受けたアカウント両方のために、積極的にインドの法律下での選択肢を模索しています。当社は引き続き、Twitter上で発生している会話の健全さを守ることを約束し、ツイートは流れる(自由に動く)べきだと強く信じています」と同社は現地時間2月10日に述べている。

【更新(インド時間2月10日午後10時40分)】Twitter幹部のMonique Meche(モニーク・メシェ)氏(グローバル公共政策担当副社長)とJim Baker(ジム・ベイカー)氏(副顧問兼法務担当副社長)は現地時間2月10日、インド政府の電子情報技術省長官とバーチャル会議を行った。

インド政府が現地時間10日の夜に発表したプレスリリースによると、長官は「米国のキャピトルヒル(国会議事堂)での出来事の際にTwitterが取った措置を同社に再認識させ、インドのレッド・フォートでの騒動とその余波と比較した。2つの事件におけるTwitterの差別的な扱いに不満を表明した」という。また、「Twitterが『表現の自由』ではなく、むしろそのような自由を乱用し、公序良俗の乱れを挑発しようとする者たちの味方をしているのを見て、深い遺憾の意がTwitterの代表者に伝えられた」とも。

長官はまた、「インドの不和と不安を煽るために作り出された」運動を展開するためにTwitterが悪用されている疑惑について懸念を表明した。同省は、これは「容認できないものであり、Twitterは、インドに対するこのような組織的な運動に対して、現地の適用法を遵守し、強力な措置を取らなければならない」と述べた。

声明はこう付け加えている。「インドの恵まれたビジネス環境、オープンなインターネット、表現の自由への確固たるコミットメントにより、プラットフォームとしてのTwitterはここ数年でインドで大きく成長しました。Twitterはインドで活動する事業体として、インドの法律や民主主義的な制度も尊重しなければなりません。Twitterは、他の事業体が行うように、独自のルールやガイドラインを策定するのは自由ですが、インド議会によって制定されたインドの法律は、Twitterの独自のルールやガイドラインに関係なく守られなければなりません」。

「合法的に可決された命令は、どのような事業体にも拘束力があります。それらの命令には直ちに従わなければなりません。数日後に実行された場合、無意味になります。長官は、Twitterが不本意に、渋々、そして大きな遅れをとって命令の実質的な部分を遵守してきたやり方について、Twitterの幹部に深い遺憾を表明しました。彼はこの機会に、インドでは、その憲法と法律が最上位であることをTwitterに認識してもらいました。責任ある事業体であれば、国法を再確認するだけでなく、遵守することが求められます。インド政府は、Twitterが公式に偽、未検証、匿名、自動化されたボットアカウントのプラットフォーム上での運用を許可している管理方法は、同プラットフォーム上での透明性と健全な会話へのコミットメントに疑問を投げかけるものであることをTwitterの幹部に伝えました」とプレスリリースはつけ加えている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitterインド

画像クレジット:Amal KS/Hindustan Times / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:TechCrunch Japan)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。