Twitterがインド政府からの「法的要求」を受け、同地の著名人アカウントを停止

Twitter(ツイッター)は米国時間2月1日、インドで数十のアカウントへのアクセスをブロックした。そのうちのいくつかは、著名人のものだ。この動きは「法的要求」を遵守するためとされており、説明を求めるユーザーたちの間に混乱と怒りを巻き起こしている。

インドで停止されているアカウントには、調査報道を行うニュース誌のCaravan(キャラバン)、政治評論家のSanjukta Basu(サンジュクタ・バス)氏、活動家のHansraj Meena(ハンスライ・ミーナ)氏、俳優のSushant Singh(スシャント・シン)氏、公共放送局Prasar Bharti(プラサール・バラティ)の最高経営責任者Shashi Shekhar Vempati(シャシ・シェカール・ヴェンパティ)氏などが含まれている。

デリー連邦直轄地を統治するAam Aadmi Party(アーム・アドミ党)の少なくとも2人の政治家、Preeti Sharma Menon(プレティ・シャルマ・メノン)氏とJarnail Singh(ジャルナイル・シン)氏のアカウントも公開停止されている。

インドで進行中の農民による抗議活動に関連した、Kisan Ekta Morcha(キサン・エクタ・モルチャ)とTractor2Twitr(トラクター・トゥー・ツイッター)という少なくとも2つの人気アカウントも制限されている。

現地時間2月1日では、誰がこの法的措置によって、Twitterにインドでこれらのアカウントを制限するように促したのかは未確認のままだ。これらのアカウントは、国外のユーザーからは引き続きアクセスできる。少なくとも、政治評論家のバス氏の場合、Twitterはインド当局が彼を含むいくつかのアカウントに対して法的要求を出しているため、話し合いを行っていると、同氏に伝えていたという。

政府筋からの情報として、AFP通信のジャーナリストBhuvan Bagga(ブワン・バガ)氏は、インドの電子情報技術省(Ministry of Electronics and Information Technology)が、ハッシュタグを使って週末に虚偽、脅迫的、挑発的などの疑いがある投稿をした、約250のツイートやアカウントをブロックするよう、Twitterに指示を出したと、現地時間2月1日の朝に報じていた。「暴動への扇動は、公の秩序に対する重大な脅威であり、したがって電子情報技術省は、情報技術法のセクション69Aの下で、これらのTwitterアカウントやツイートのブロッキングを命じました」と、同氏はつけ加えた。この件に詳しい人物がTechCrunchにこの主張を裏づけた。

Twitterの広報担当者は声明の中で、次のように述べている。「多くの国には、ツイートやTwitterアカウントのコンテンツに適用される可能性のある法律があります。世界中の人々が当社のサービスを利用できるようにするための継続的な努力の中で、権限のある機関から適切な範囲の要請を受けた場合、特定の国においてある種のコンテンツへのアクセスを保留する必要がある場合があります。表現の自由を守るためには透明性が不可欠であり、当社では保留されたコンテンツへの通知ポリシーを設けています」。

Caravanの編集長であるVinod Jose(ヴィノッド・ホセ)氏は、TwitterはCaravanの出版社にアカウントを保留していることを通知していないと述べている。

Twitterがキャラバンの公式アカウントを停止しましたが、本誌へのアクセスはWebサイトから可能です。定期購読をしていない方はこちらから。caravanmagazine.in/subscribe

インドは今、これまで以上に果敢で公正なジャーナリズムを必要としています。

ということで、@thecaravanindiaのTwitterアカウントはインドでは停止されています。

信頼できるメディア、俳優、農民の擁護者など、何十ものTwitterアカウントがインドで今日ブロックされました。彼らに共通していたのは、政府の農民に対する扱いを批判することだったようです。

「セクション69A条とITブロッキング規則は、Twitterのような媒介がアカウントやツイートのブロッキングに関する情報を開示することを禁じています。ITブロッキング規則の16条の下に定められた秘密保持要件では、市民はオンラインコンテンツのブロッキングに抗議する権利を持っていますが、法的命令に訴える手段を持っていないため、それができないという奇妙な状況を作り出します」。ニューデリーを拠点とする権利擁護団体「Internet Freedom Foundation(インターネット・フリーダム・ファウンデーション)」は、市民がインド国内で直面するこの法律の限界を説明している。

今回の件は、数人のインド人ジャーナリストが、先週の農民による抗議行動に関する報道やソーシャルメディアへの投稿をめぐり扇動罪で告発されている時期に行われたものだ。訴えられているジャーナリストの中には、注目度の高いニュースキャスターのRajdeep Sardesai(ライディープ・サルデサイ)氏や、前述のCaravan編集長ヴィノッド・ホセ氏などがいる。

インドで約7500万人のユーザーを持つTwitterは、同国内での運営方法について長い間批判に直面してきた。

米国とは異なり、Twitterはこれまで、悲惨なことにインドでコンテンツの最低限の節度を保つ取り組みに失敗してきた。インドのほとんどのトレンドトピックは作為的なもの、集金目当てのもの、下品なもの、罵倒的なもの、役に立たないもの、時代遅れのもの、危険なもののいずれかであり、時にはそのすべてが表示される。

Twitterや他のプラットフォーム企業が、これと同じようなことを米国、フランス、ドイツで行いAtlantic、Nouvel Obs、Spiegelなどの投稿を隠して、法的な要求を受けたことについてきちんと説明を行わないなんて事態が想像できるでしょうか?

プラットフォームの運営に深遠な不平等が見られるのは困ったことです。

8月からインターネットが遮断されているカシミールについてのこの部分の「トレンド」はどうなっているのか非常に興味があります。広告というレッテルが貼られていません。ここで何が起こっているのですか、 @Jack?

【更新(インド時間2月1日午後11時30分)】Twitterはインド国内のユーザーのアカウントを制限してから12時間以上が経過した月曜日の夜(現地時間)、静かにそれらのアカウントを復活させた。同社は声明を発表していないが、事実確認サイト「Alt News(オルトニュース)」の共同創設者であるPratik Sinha(パトリック・シンハ)氏の以下のツイートが、この日の出来事を正確にまとめている。

何十ものアカウントを保留にした上で、ひっそりと元に戻したTwitterの不均衡な行動。いつものように、きちんとした説明はないでしょう。先日、右派は「lath bajao」としてデリー警察に農民に対する暴力を求めたが、Twitterはその間、すやすやと寝過ごしていました。

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カテゴリー:ネットサービス
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画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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